Short short short

短い・会話文・ネタメモ・中途半端etc...


::世界は思う以上に無慈悲で僕らは優しさを這うように探した

(その他)


・リューナイト:サルトビとカゼマル



「…なぁ、」


それはさながら、録音機から聞こえる自分の声だ。


「お前は、里が襲われた時に何も出来なかった言うが、父さん達を、里のみんなを、たった一人で弔ってくれたんだろ…?」


自分であり他人であるその声が、じわりじわりと俺を責め立てている様で。


「…俺はその人達の死顔すら見れなかった、死んでいた事実すら知らずにいたんだ……」


それでいて、優しく包み込んでくれている様で。
怖いくらいに似ている顔を持った男の言葉を、俺はただ聴く事しか出来なかった。

“俺達が逆だったら良かったのに”

などという陳腐な言葉を発する真似はしない。そもそも、そんなこと微塵も思わない。
会って間もないが、向こうとて願い下げだろう。


「ぷっ、なっさけねぇ面だな」


お互い様だろ、とは言わないでおいてやった。
彼とてどうにかなる問題だとは思っておらず、俺と同じでただ口にしたかっただけだ。どうにもならないから、せめて声に乗せるくらいは見逃せ、と。

だから、いつか見た母の涙の真相が、目の前のどうやら兄らしい男を手放したことによるものだと分かったとて、
“お前を産んだ女性が、夜中に夫の腕の中で泣きじゃくるのを見たことがある”

そう男に伝えることは、一生ないだろう。





title→魔女さん

言ったところでカゼマルは困るだけ。
しかも、母親について想いを巡らすとかそういうのは一切なく、ほんの少し困っただけで終わるだろうから、そんな反応されたらサルトビは激情を抑えられなくなる。
よって言わないし言えない。


2012/02/11



::鉄についた血脈

(TF)


・実写アイレノ


コツンと額を当てた奥からは、うるさくはないがハッキリと機械の駆動音が感じられる。


「うーん、やっぱこんなだよなぁ」
「…何がしたいんだ、お前は」
「……お医者さんごっこ?」
「聞いてるのはこっちだ」


アイアンハイドの嘆息には曖昧に濁した言葉を投げ、レノックスは目の前の金属に耳を付けた。
冷たくも熱くもなく、心地よい人肌の温もりを持った金属だが、その奥から届く音は無機質と言えるものだ。あくまでも駆動音であり、鼓動ではない。

それでもコレが、彼等の心音なのだ。


「俺、コレでも寝付ける自信あるな」
「……は?」
「心音って、睡眠導入効果があるらしいんだよ」
「……………あぁ〜何となく察したが…俺達のはいわゆる“心音”とは程遠いだろう…?」
「…そうだな。でも、お前達が生きてる証の音なら、コレだって立派な心音だ」
「………」
「だったら、安心するのに充分な音じゃないか」
「…そうか」
「そうだ」
「なら、そういうことにしておいてやる」
「おう」




title→宇宙

ロボットモードのハイドに胸の高さまで持ち上げて貰ってるレノックス。


2011/10/01



::そっと不器用に躊躇いがちに

(TF)


M伝:アイアンハイド×サンドストーム


こういう関係になってからどれほど経っていると思ってるんだか…。
いつだってアイアンハイドは、まるで繊細なガラス細工を相手にしているかの様にサンドストームに口付ける。

(……甘ったりぃ…)

それによって、醸し出される空気は必然的に甘くなる。
過去に一例だって誰かとそんな雰囲気になったことなどないサンドストームに、毎度繰り返されるそれは毒に等しいものだ。
こんなのも悪くない。
果ては、心地いいとまで思わせる。そんな毒。

いつまでもそんな風に扱われると、こっちまで伸ばす手が震えてしまう。
サンドストームからしてみれば、どこまでも不器用なアイアンハイドの方が繊細でぬるま湯に漬けられる扱いを受けるべきだと感じられて仕方ない。
とはいえ、サンドストームにそんな器用な真似出来るわけも無ければ、する気も微塵もないのだが。

つまるところ、
不器用なのはお互い様。



title→魔女さん
本人達なりにはいろいろ葛藤しててギクシャクしてるけど、端から見たらただのバカップル。


2011/08/10



::有刺鉄線の向こう側

(TF)


M伝アイサン、出会い捏造


正直、今の上官にはついて行けない。
この面子の中ではまだまだ新参者の自分が言うことではないだろう。だが、何千何万と続いている戦いで感覚が麻痺していることは明らか。無謀な策ばかりをこちらに押し付け、もはや作戦と呼べるかも怪しい。
しかし、そうは思っていてもこの隊から抜けられないのは、実力がないからか。度胸やプライドが欠けているからか。いや両方か…。

のし上がろうなどとは思わない。これは度胸云々の前に、性分の問題だ。
ただもう一歩、踏み込んでみたいとは思う。
深い谷底を這うのではなく、かといって、天から見下ろすのでもなく。せめて開けた地上をいきたいと。

そんなことを戦闘の合間に考えつつ過ごしていた時だった。

―あのバカに出逢ったのは…―

無鉄砲で思慮に欠け、自分勝手で口を開けば毒ばかり吐く。デストロンでさえ最低限は必要とする協調性は微塵もない。
それでいて笑みを絶やさず完全に孤立している訳でもないソイツが、俺は何故だか気になって仕方なかった。




title→カカリア
二人の出逢いは、戦闘中に別部隊と合流したら無茶苦茶な戦い方する奴がいて、アイちゃんが「あの特攻野郎誰だ?」って聞いたら「それサンストじゃね?」教えられたという感じがいい。
気にしだしたのはアイちゃんが先だけど、恋しちゃった(笑)のはサンストが先かな。



2011/08/07



::擬人化学パロ

(TF)


M伝:アイアンハイド×サンドストーム

「ぶぇっくし!!」
「…汚いぞ」
「うっせぇな、好きでしたんじゃねぇよ」
「明らかに雨雲が覆ってるのに傘を持って出なかった奴が悪い」
「いやいや、家出る時に降ってなかったのが悪いだろ?」
「(……頭痛してきた)とりあえず、乾くまでは俺のブレザー貸してやる」
「へいへい。ありがたくかりてや…る……」
「? ……どうかしたか?」
「いや…、さんきゅ」
「おう」

身長差は然程ないはずなのに圧倒的に違う肩幅、手のひらが半分も見えない袖口、太ももに掛かりそうな丈…。
予想外のタイミングで改めて教えられた体格差だったが、覚えたのは悔しさでも寂しさでもなく、じんわりとした温かさだった。




擬人化だけど珍しく女体化してないサンストなのに、女体化よりも乙女っぽいのは何故だww


2011/08/07





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