小説 | ナノ
※死ネタ注意
なにがしたいの?
きみがほしいの
どうしてほしいの?
きみが愛おしいの
優しい愛で包まれた彼の柔らかな声に吐き気がした。
俺の知っている彼は、そんな奴じゃあない。
俺の知っている彼は、唯我独尊で、頑固で、でも誰よりも努力家で、ストイックな彼。
そんな彼が、俺を求めてる。
ストイックではない。
そんな彼が、俺の言葉に批判しない。
頑固ではない。
そんな彼が、そんな彼が、そんな彼が、
俺の好きになった彼と、ズレが生じている。
俺は、好きな人の全てを受け入れられるほどの度量なんて持ってないし、
無理だよ。
ひどく傷ついた彼は、彼は、彼は、
今はここにいない。
彼は、失恋した。
きっと一世一代のメインイベント。
男から男への奇妙なラブソングを紡いだ彼はアッサリ折られて、その重々しい命をアッサリ捨てた。
涙は出なかった。
ああ、きっと彼を殺したのは俺だ。
きっと彼は俺にフられたショックで死んだんじゃあない。
俺は彼に言った。
永遠なんてないんだよ。
彼は俺に言った。
なら俺が永遠になろう。
たしかに彼は永遠になった。
俺の自慢の目ん玉を、一番使いたかった彼がいなくなった。
俺のいつものつまらない話に、耳を傾けてくれた彼がいなくなった。
俺の中ではかなりの損害だ。
損害賠償を引ったくりたいくらいだ。
彼は永遠になったのだ。
俺に忘れられない傷を負わす。
それは俺が彼に負わした傷と同等に深い深い。
「ごめんね、真ちゃん。大好き」
永遠になった彼は今、
*130621
永遠になった彼に贈るうた。
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