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「はぁーっクリスマスなのに味気無ぇなあ」


彩り鮮やかなイルミネーションや、派手に飾られたクリスマスツリーのある、街を通り抜け、人が薄らぐ道を2人で歩く。
高尾はわざとらしく深い溜め息を吐きながら、残念がった。


「当たり前なのだよ」

「んー…まあ分かってるけどさぁ」


ウィンターカップが目前に迫り、クリスマスで浮かれる奴は、まずいないだろう。
高尾もそれは重々承知なはずだ。


「真ちゃんとの初めてのクリスマスだし、ちょっとくらいは恋人らしく、いちゃいちゃとかしてーなー」


拗ねたように、唇を尖らせて嘱望し、俺を見上げる高尾。
そんな可愛らしい仕草をされて、黙って居られるほど俺の理性は強くない。
本人は無自覚なのが、高尾の強かな所で、少し狡いと思ったりもする。
それに少し不安にもなる。


「高尾、」

「ん?」


後頭部と腰に腕を回して固定する。
驚く高尾の唇に噛みつくようにキスをすれば、少し間が空いてから、しっかり首に回される腕。


「ん、ふぅ…っ」


くちゅ、と、時間が経つに連れ、濃く絡み合う舌と、混ざり合った唾液の立てる卑猥な音。
僅かな隙間から漏れる、か細い声に欲情をそそられる。

高尾は、生理的な涙を浮かべながらも、しがみつくように俺の服を精一杯に握っている。


「ぷは…」


唇を離したと同時に紡がれる銀の糸が、電灯の微かな光に反射し、光った。
どちらとも言えない唾液で濡れた唇を袖で拭き取ってやると、キュッと目を瞑って構える。


「別に何もしないのだよ」

「えー」

「ここは一応外なのだよ」

「よく言うぜ。って…あ、」


さっきまで笑ってた高尾が突然、真ちゃん、と言って空を指す。
言われた通り空を見上げると、雪がチラホラと、小降りに降っていた。


「ホワイトクリスマスだな!!」


と言って笑う高尾に、素直に同意して笑い返すと、高尾は目を丸くして、それから次は顔を真っ赤にして、慌てて鞄から携帯を取り出した。


「ちょ…っ真ちゃん!もう一回笑って!!」

「可笑しくもないのに笑えないのだよ」

「レアだったのに!くそっ撮り逃した…!」


コロコロ表情を変える高尾が可笑しくて、気付かれないように笑った。
そうしてる内に、悔しそうに、べそをかく高尾を呼んで額に軽く唇を当てた。


「メリークリスマス、高尾」



メリークリスマス!!


(雪の降る量が増えて来たのだよ)
(熱冷ませってことじゃない?)
(なぬ!?)





*121224

ウィンターカップが何日から開催か分からなかったので、クリスマス後ってことにしてしまいました。
間に合って良かった。

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