小説 | ナノ
想いを伝えて、伝わって、手を繋いで、キスをして、身体を重ねて、愛を確かめ合う。何とも高校生に有りがちな健全な付き合い。
何よりも大事。と思えるくらい好きで好きで仕方なくて、一緒に居るだけなのに、こんなにも満たされてる。
欲してくれる彼を欲して、欲する俺に与えてくれる。
こんなにも愛しい。
合い口も良いし、出会ってから離れたことなんて殆ど無い。喧嘩だってする。不安になるときもある。
それでも真ちゃんが好きだ。
でも違和感というか、何というか、自分でも何とも言えない不思議な気持ちになったのは初めてだった。
考えたことも無かった疑問が不安を煽るように頭に浮かんでくる。
「俺の何処が好きなの?」
今まで何とも思ったことなかった疑問。
俺も真ちゃんの何処が好きかなんて全然分かりっこ無かった。
ただ溢れ出す感情は言葉に表すと「好き」を表現していて、理性なんて保てないまま、告白だってした。
「……何処だろうな」
真ちゃんは少し困った顔をしながらも、優しく頭を撫でてくれる。大きな手のひらがとても気持ち良くて瞼を下ろす。
「高尾の第一印象は悪いし、お喋りだし、楽観的だし、軽いし、お調子者だし、数えだしたらキリが無いのだよ」
「ひっでえ」
ハハッと漏れる苦笑。
真ちゃんも苦笑いをした。
「短所の無い人間なんて居ないのだよ。それに家族でさえ同じ空間にいるのが嫌に思う時だってあるのに他人と居て相手の短所が見当たらない人間なんて居ないのだよ。」
それでも、と加えながら真ちゃんの腕が伸びる。
真ちゃんの腕は俺の背中に回って、俺はすっぽり腕の中。
「他人同士が結婚して、長い年月を共に過ごせるのは、相手の短所も憎めなくて短所なんてどうでも良くなってしまうからなのだよ。」
俺も同じだ。と言って真ちゃんの腕に力がこもった。
「答えになってないよ真ちゃん。」
「…高尾の、全部が好き、ってことなのだよ…」
言わせるな。と言っては乱暴にキスをされる。唇を割って入る舌が中で生き物みたいに動いて、息すらままならない。
どちらとも言えない唾液が溢れ出て顎を伝う。
「…っはぁ」
離れた唇が名残惜しげに銀の糸をひいた。
「これで満足か?」
と笑った真ちゃんに、まだ足りないと言ったら、真ちゃんはまた苦笑した。
「たまには俺が我が儘言ったって真ちゃんは嫌いになんてならないだろ?」
「そうだな…嫌いに成れっこないのだよ…」
見つめ合っては、引き寄せられるようにキスをした。
an answer
(結論は1つしかない)
*121220
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