小説 | ナノ
昼間だった。
部屋は暖房がついてなくて寒かった。
ベッドの近くにある窓から入る煌々しい太陽の光は温かかった。
寒さで身体が身震いする。
触ると冷たい。
頬は発熱しているように熱かった。
抱きしめた身体は俺より背の高い男とは思えないほど頼りなくみえて、守ってあげなきゃ、と思った。庇護欲というのだろうか。
緑間の瞼にキスを落とした。
気の利いた言葉なんて言えなかった。
目が覚めると俺も緑間も素っ裸だった。
最中の事を思い出して少し恥ずかしくなった。
緑間を抱くのは2回目だ。
緑間は俺の隣ですやすやと眠っている。
「真ちゃん…」
いつも、情事後は例えようもない幸福感と、あとは罪悪感が募った。
俺なんかが緑間を独占してしまっていいのだろうか。と思う。
「俺、これからどうしたらいいんだろうな」
緑間の綺麗で艶々の髪に触れた。
いつか緑間と別れなきゃならない時がくる、と思う。
緑間は育ちも良いしいい奴だからきっと綺麗な奥さんもらっちゃったりするんだろうな、と思うと目尻が熱くなった。
「…お前は何も考えずに、俺を独占したいだけすればいいのだよ」
「真ちゃん?!…起きてたの?」
「ああ。」
「だいたい、俺は端(はな)からお前に責任を取ってもらおうと…」
「…俺絶対お前のこと幸せにするわ」
「そうしてくれ」
真ちゃんがフッ、って笑った。
鼻にかけるような笑い方じゃなくて、微笑む感じ。
頬が少し赤らんでいる。
「寒くない?」
布団を被っているけれど、肌に触れる外気はとても冷たい。
「寒い。」
「暖房つけようか?」
「いらない……察しろ馬鹿」
俺がハッとすると、緑間は恥ずかしそうに布団へ潜った。
「やだ真ちゃん、急にそんなデレかますとか、気ぃ抜いてたわ。ごめんな〜あ〜もう可愛い」
「うるさい馬鹿」
後を追うように俺も布団へ潜って緑間をギュッと抱き締めた。
131231
タイトルは瑠璃様から
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