拝啓
いまだ冬の寒さ去りやらなる時候
いかがお過ごしでしょうか
この度の急の手紙
さぞや驚きのことかと存じます
さしあたっては貴方のような方にお届けするにはいささか礼を欠くかと思われる品ばかりですがどうかご容赦願います
私事ではございますが、私には年の離れた弟がひとりおります
以前、共に貴宅にお邪魔させていただいたこともある見た目10代の少年です
名前をアマイモンといいます
覚えておられますでしょうか
先日、あろうことか彼を使いこれらの品が私の所へ届けられました
何も知らぬことをいいことに弟に運ばせるにしてはいささか悪戯の度が過ぎているかと思われます
ましてや彼が受けた口頭での伝言の内容はこのような紙面であっても口にするのを憚られるようなものでした
彼自身、言葉の意味さえ分からないまま伝えてきたようです
ですが、不用意に口にしては彼の身体や精神に生涯傷を残す結果にもなりかねません
あくまでも私個人、悪意ではないことから内密に済ませられればとは思いましたが、部下達との緊急会議の結果、あまりの悪質さと再犯の危険もあることからそちらからの助言を頂こうという結果になった所存でございます
お忙しいかとは存じますが
何卒ご助力よろしくお願い致します
最後になりましたが
日増しに柔らかさを増す春の日差しを浴びて、どうぞお心安らかに過ごされますよう
ご兄弟の
ご健康とご多幸を切に祈ります
敬具
メフィスト・フェレス
地王眷属一同
「…そうフェレス卿も大変だね」
「…その…申し訳ないよな」
「馬鹿丁寧な文面がもう恐怖だよね」
「俺それより眷属一同ってのが怖い」
※キレたメフィストさんは
奥村さん宅に送りつけたようです
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