小説 | ナノ



あの花はどこへ?

あの花園はどうしたの?

ボクが眠っていた間に、なぜ去ったの?

ボクに墓守を頼んだあの美しい楽園は、もうないのですか?

あの心優しい花達が居なくなったのです、兄上…。ボクはそれほどまでに眠っていたのでしょうか?

ボクが居たのはこの地ではない

ボクと共に、と願った誓った花はこの花ではない。この地ではない。ここは…どこ?

「嗚呼、可哀想なアマイモン!!」

…兄上。

「アレはお前を落としたのだ!!」

兄上に抱き締められた、その肩越しに、ボクは壊れた梯子を見た。

――ああ。彼処から落ちたのか。

…ならばあの花達は未だに天上の彼の地で、ボクを待っているのでしょうか…。


ボクを抱く、兄上の腕の力が強くなった。


【ソラは遠く、ボクの羽根は重く、もうボクは飛べないだろう。あと出来ることは墜ちるだけだと知った遥か昔の出来事】


昔はアマイモンもメフィストも天使だったという設定を読んで。


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