パチン、そんな音と共に
目の前の弟は声にならない悲鳴あげた。
声を上げなかったのは流石だろう。
嫌嫌と
幼い子供のように首を振る弟。
その顔色は蒼白で、無意識に逃げようとする身体にその両腕に掛ける力を更に込めた。
びくりと震える肩が愛しい。
しかし弟の身体は、突如増えた圧迫感に逃げようといまだ藻掻くことを止めない。柔らかい寝台の上、バタバタと音を立てるだけの両足が哀れだと思った。
「辛いかアマイモン」
「………っ」
私がアマイモンに拘束具を着けたのは何もこれが初めてではない。しかし今までと比べて効果が段違いのそれに、私を見上げてくる瞳が悲痛に揺れた。
首、両手、両足、耳朶にまで
聖銀でできた美しい封魔具を。
…愛しいお前に最高の装いを。
嗚呼、
苦痛に揺れる様でさえ独占したいと思う私はなんて酷い兄なのだろうか。
[お前はただ、私にだけ
可愛いがられていればそれでいい]
突発的に。
独占欲強い兄上が書きたくなった。
時系列的に燐に負けたあとを希望。
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