請負人というと大体怖気づかれるのだが、その実何でも屋と大差ない。ただ違うところと言えば、法に触れるような仕事でも相応の金額さえ支払って貰えれば受けるという点だ。 だから、まあ、 「想像してはいたんだがね」 溜息混じりに独り言ちた。 真向かいで新聞を読んでいた晶子さんには怪訝な顔をされてしまった。 請負人である私は探偵社では 正直どこに身を置くか迷っていたのだが、旧友である太宰に探偵社の助っ人として来て欲しいと言われ、限定的ではあるが探偵社と今は契約を結んでいる。 「ホルヘ嬢、この度の協力感謝する」 考えに耽っていると福沢先生にそう声を掛けられた。 「いえ、これも仕事ですから。というのは建前で、五和が世話になっているのでせめてもの礼をというのが本音です」 五和。結崎五和。彼女は私の助手であり妹のようでもある娘だ。私が探偵社と関わりを持ち始めてから、彼女は連絡係として頻繁に探偵社に顔を出していた。 五和に異能はないが、体術、判断力共に優れているので避難している事務員の警護を任せている。 さて、これからどう動くべきか。 次に動くだろう戦況について考えを巡らせていると、乱歩さんが痺れを切らしたのか、「暇だ〜外でたいぃ〜」と駄々をこねだした。 無理もない。今この場所から外に出れば敵にみすみす殺されてしまう。 今のところ監視映像に異常はないようだが、予断を許さない状況だ。 「与謝野さんホルヘ、此れで花札をやろう」 先程まで退屈で仕方ないと喚いていたが一転、新たな玩具を見つけた子供のように嬉々とした表情で晶子さんと私にそう誘ってきた。 晶子さんは「おやおや何賭ける?」と返り討ちにしてやる気満々の顔で答えている。 「ホルヘはどうするんだい?」 「私は辞めておくよ、機械は苦手でね」 「相変わらずだねェ」 そんな和やかな雰囲気に浸っていると、乱歩さんの纏っている空気が変わった。 どうやら攻めてきたようだ。 監視映像を観るとそこには案の定 予期した再開 嗚呼、とうとうこの時が |