短編 | ナノ




※名前変換なしです。





「わ、わたしと一緒に心中してください!!!」


言った、言い切った。
道征く人達には変な顔をされてしまったけどちゃんと言えたよわたし!

この間河原で偶然見かけた笑顔の素敵な男性。わたしの調査リサーチ能力によると彼の名前は太宰治。かの有名な武装探偵社にお勤めで、以前はマフィアに身を置いていたとか、そして相当な自殺嗜癖マニア。心中相手を探しているらしくなんでもその相手は美人が良いそうだ。

正直わたしは美人でも醜女でもないのでその点は不安だが、心中に対する思いは誰にも負けない。負けてなるものか!

太宰さんは驚いた顔をしていたが、「嗚呼、君みたいな可愛らしい娘なら大歓迎だ!」と笑った。


「ほんとですか!?」


真逆快諾してもらえるなんて!
嗚呼わたしは今天にも昇る気持ちです。どんな心中方法なんだろう、なるべく苦しくないものがいいなあ。


「しかし、」
「...?」


なんだろう、何を聞かれるのだろうと疑問符を頭に浮かべ太宰さんの言葉を待った。
すると太宰さんはわたしの着ている制服を指差し、「何故君のような未来ある学生が心中を?」と尋ねてきた。

何て事!心中目的ならば理由なんて些末なもので尋ねることをしないと思っていたのに!これは予想外だ。が、仕方ない。


「笑いませんか?」
「うん、笑ったりしないよ」


わたしは緊張を誤魔化すように大きく息を吸い込み、制服の袖をぎゅっと握った。


「......わたし、死にたいんです。理由は特にないんです。幼い頃から死にたくて、でもチキンすぎて死ねないんです。首吊りをしようとしては縄の結び方をマスターするだけに終わり、睡眠薬を飲んでも怖くて飲み込めず吐き出し、飛び降りをしようと思いビルに昇ったら脚が竦んで動けなくなってしまい、いっそマフィアをけしかけて...というのも考えましたが矢張り怖くて出来ませんでした。なのでこれはもう誰かと一緒に死ぬしかないと思いまして」
「それで私となった訳か」
「はい。太宰さんのことは以前河原で入水自殺をしているのを見まして、色々と調べさせて貰いました。あなたが元マフィアだというのも知ってます」
「ふむ、只の一般人でそこまで調べるとは」


一瞬、太宰さんの眼が鋭くなった気がした。
あれ、わたし何か間違えた??今日こそ死ねると思ったのに?


「君、探偵社(ウチ)に来ないかい?」
「へ??いや、わたし心中したいのですが...!!」


予想外の話になってきて慌てふためくわたしに太宰さんは「心中という言葉の定義を知ってるかな」と問いかけてきた。そんなこと今更、と思い少し不貞腐れた顔でわたしは答えた。


「相思相愛の男女が現世で結ばれないので、来世で〜という意味のはずですが...それが何か?」
「私達は今日見知った仲だ」
「つまり、わたしとは心中できないと......」
「いや、君が探偵社に来ればお互いにとって有益だと思うよ?」


んん?つまりは、わたしが探偵社に行けば太宰さんと仕事をすることになり、働きが認められれば仕事をする回数も増える、増えれば自然と仲も深まり、


「いずれは心中できる、とそう言うことですか!?」


わたしが興奮冷めやらぬ勢いで答えると太宰さんは満足そうに「そうなるかもしれないね」と笑ってくれた。










死にたがり少女との邂逅





書いてるうちにわけのわからないものになってしまった...







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