02
「よし、2回戦目な」
「次は負けないからな……!」
さっきよりも緊迫した雰囲気のなか、太一の「ジャンケンポン」という合図に合わせ手を出す。
「よし、俺の1人勝ち!」
『今日太一強くないか?』
「と、とりあえず俺と神で勝負だな……!よし……」
またジャンケンポンと手を出す。
出した瞬間、一気に身体の血の気が引いていく感じがした。
「よしっ!」
「神の負けだな!ほら、好きなのどうぞどうぞ」
『くそ……太一の余裕そうな顔が腹立つ……!』
だが、ルールだからと1枚紙をひく。
中を開けた瞬間自分の運のなさを心の底から恨んだと同時にこの場から逃げ出してしまいたくなった。
『無理だ!ムリムリムリ!!!』
「なんだったんだよ、見せろって!」
俺が両手で顔を抑え床でジタバタしてる間に、太一が紙の内容を見る。
絶望する俺とは裏腹に楽しそうな太一の姿がそこにはあった。
「これは酷い」
「やろうぜ!な!早くやろうぜ!」
『誰だこんなの書いた奴は!!』
「俺!」
『太一ぃ……お前って奴は……!』
紙に書かれていた内容……それは、恋人に電話で愛の告白というやつだった。
「おい、これ俺や神が引かなかったらどうしてたんだよ」
「そんときはそうだなー……丈とかに電話してやるってのも面白いよなとは考えてた」
悪びれもなく笑っている太一が心底憎い。
何が嫌かって、地味にヤマトも乗り始めたことだ。
『す、好きだって言えばいいのか……?』
「それじゃあつまらねーだろ?だから、俺とヤマトが告白内容決めるからそれを電話で光子郎に伝える」
「なんなら神が絶対に言わなそうな言葉にしようぜ」
『おい、ヤマト』
さっきのパシリの恨みか、こいつ……。
2人が楽しげにコソコソ台詞を考えている中、俺はただただ変な言葉じゃありませんようにとそれだけを願った。
「よし、決まった!」
太一に渡された紙を恐る恐る見る。
目の前で笑いをこらえている2人から察するに俺の願いは届かなかったと諦めていいだろう。
『う、わあ……』