お馬鹿3トリオ | ナノ

ドキドキの1日目

朝、教室に入り自分の席に座るとヤマトが席の前までやってきた。


荷物を置き、『なんだ?』と声をかけると、ヤマトは綺麗にラッピングされた小さな包みを俺の机へと置く。






『これは?』


「友チョコ、今日はバレンタインだろ?」


『ああ、そういえば……』






完全に忘れていたと告げると、ヤマトは軽く微笑みながら『神らしいな』と言った。


ヤマトが作ったという時点で味に問題はないだろう。



家に帰ったらの楽しみが増えたわけだが……。






「あとで太一にも渡すか……」


『そういえばまだ来てないな……』






そう呟いたとき、教室のドアが開く音が響いた。


音の方へ振り向くと太一がいて、俺達に気づくとゆっくり近づいて来る。







『おはよう、太一』


「おう、おはよう。……なに話してたんだよ」


「なにって……」






ヤマトが横目で俺を見る。


別に隠すことでもないが、ただ教えるのはつまらないので少しふざけて見ることにした。






『これ、なんだと思う?』


「ん?なんだよそれ……」


『チョコだ』


「チョコ?」


『このチョコ、誰から貰ったと思う?』


「え……」


「……ちなみに今日はバレンタインな?」






ヤマトも俺のおふざけにノッてくれたらしく、それらしいことを言ってくれている。


太一は、一瞬固まったあと驚いた顔で「まさかお前……」と口を開いた。






「女子か……!『ブッブー、ヤマトでした』


「……は?」


「太一……、おま、その顔……っ!」


『なんてアホ面してるんだお前は……』


「お前ら……」






答えを言った俺に太一は力が抜けたような間抜けな顔をする。


その表情がツボったのか、ヤマトは大爆笑。



俺もツラレて笑ってしまった。






『俺が女子から貰うとでも?』


「今年は裏切らないって約束したじゃねーか!」


『裏切ってないさ、ヤマトからだしな』






そう、俺達は今年誰からもチョコを貰わないという謎の約束をしていたのだ。


だから、太一のオーバーなリアクションは俺が約束を破って女子から貰ったと思ったからだろう。






「ほら、これお前の分」


「お、サンキュー」


『ちなみにもう誰かから渡されたか?』


「3つ……?下駄箱に入ってた。でも俺の意思じゃないからカウントはなしな」


『それなら俺も入ってた。だが一番すごいのはヤマトだぞ?机の中にも入ってたらしい。確か5個……だったか?』


「へー……」


「お、おい!それだって俺の意思じゃないんだからカウントはなしだろ?」






妬むような顔でヤマトを見る太一に慌てたようにそう言うと、太一も「はいはい」とわかったのかわかってないのか中途半端な返事を返した。


そんな2人を見ながらクスクス笑ってると、太一が俺のカバンに視線を向け逆に俺を疑うような顔を見せる。






「おい神……」


『ん?なんだ?』


「この、いかにも本命だと言わんばかりのチョコはなんだよ」


「あ、ホントだ。お前いつ貰ったんだ?」






知らない間に入れられていたチョコとは分けて入れていたそれは、確かに包装が義理チョコには見えないものだった。


それはそうだ、実際これは大切な人から貰った本命チョコなのだから。






「もしや……」


『コウちゃんから貰ったんだ。恋人だからカウントはなしな?』


「くそー!ずりーだろ!なあ、ヤマト!」


「悪い、俺も空からのは貰ってるんだ」


「はあ!?」







そして、俺とヤマトは顔を見合わせ太一に言った。








「『恋人は別だからな』」









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