「あっ!太一さん達だ!」


『タケル……?』






お台場の駅でお兄ちゃんが来るのを待っていると、太一さんと神さんに会った。


2人は色違いのTシャツを着ていて、いつ見ても仲良しだと思う。






「ヤマトを待ってるのか?」


「うん、今日はお兄ちゃんの家にお泊りなんだ!」


「へー」


「太一さん達は?」






僕がそう聞くと、2人は顔を見合わせて笑いあった。


なんだろうと疑問に思っていると、口を開いたのは神さんで……。






『明日は土曜日で休みだろう?だから今日は俺も太一の家にお泊りなんだ』


「太一さんの家に?」






あれ?でも、神さんの家って確か太一さんの家の隣だってお兄ちゃんが言ってた気がする。


泊まっても泊まらなくても一緒なんじゃ……。


そう、口から滑り出そうになった言葉をすんでで止める。


だって、2人共嬉しそうだったから……。






「そうなんだ……、じゃあいまからどこに行くの?」


「今日の夕飯の買い出し!行って来いってうるさくてさ」


『まあ、いまはその前に2人で寄り道してるわけだが……』


「そうなんだ……」






ふっと下を向くと、2人の手がしっかり握られていることに気付いた。


ああ、そういえばお兄ちゃんが太一さん達は"バカップル"だと言っていた気がする。






「ねえ!太一さん達ってバカップルなの?」


「……え?」


『……は?』






僕の言葉に2人は驚いた顔をする。


なにか変なことを聞いたかなと小首を傾げると、2人はお互いの顔を見るなり、照れくさそうに笑った。






「バカップルだってよ、神!」


『褒め言葉だな』






そんな2人をじっと眺めていると、誰かに視界を遮られた。


頭上から聞こえた声から察するにお兄ちゃんだ。






「悪いな、2人共……、タケルに変なこと言わないでくれるか……?」


『ヤマト……』


「変なことって言われてもよ……」


「『本当のことだしな』」






顔は見えなかったけど、きっとさっき見たいに太一さん達は笑いあってるんだろうな。


そんな2人とは裏腹にお兄ちゃんは大きく溜息を吐いた。






[僕もいつか大切な人が出来るかな?]




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