「僕がみていた、夢はなんだったんだろう」

儚くほの白い瞳は一点を見つめてその視線をずらそうとはしなかった。ぼうっとなにを考えているかわからないくらいただ一点をひたすらに見つめていた。

「僕は、エルドラドの…なに?」

「はあ?」

ぽつりと、視線は逸らさず言葉を呟く。ザナークはそれにこそ、意義を感じた。なぜ、コイツは…ガンマは夢と例えて、エルドラドのことを忘れているのか。それは気持ち悪さが込み上げるほどおかしいもので、プライド高いガンマだからこそザナークへの衝撃は強かった。

「どうしたんだよ」

「どうもしていないよ。ところで、君は誰?」

にっこり、あの嫌な微笑みとは打って変わってとても純粋でこちらの考えも見通すかのように視線を向けてきた。

「お前…っ!本当に覚えてねぇのか!?」

「怒らないでくれ、僕はなにもわからないんだ…」

いつもザナークにあんなにべったりだったガンマは今は全く違っていて逆に誰も寄せ付けないオーラを放っているくらいだった。

「…名前は?」

「…わからない」

「お前の名前はなあ、」

ガンマってんだ。
それは、ザナークが初めて名前を言った瞬間だった。いつもなら、いつもなら自分は人の名前なんて呼ばなかった。そう考えているザナークを余所にガンマは、

「そう、なんだ」

と言う。もう一度にっこりと優しげな笑顔を浮かべる。次は、前の嫌な微笑みが少し含まれていた。

「初めて呼んでくれたね。ザナーク」

「な…っ」

少し、瞳に潤みを宿すザナークの頬を撫でる。そうして、ガンマは完璧にいつもの笑顔に戻って一言こう言った。

「スマート!実に感激だ、ザナーク」

「本当にいつものテメーだな」

ザナークは、クックッ、と笑いガンマを見る。すごく、幸せだったよ。そう言うガンマに理由を尋ねる。

「夢で、ザナークとサッカーしていたんだ、それで…また、明日って別れて、そこでザナークの僕を呼ぶ声が聞こえたんだ」

「それがテメーの言う、幸せか?」

ガンマはそうだよ、と言うとサッカーボールを取り出した。なんの仕掛けもないただの白と黒のサッカーボール。ザナークはそれを手にとり、こう言った。

「じゃあ、ガンマ。また、明日…サッカーやろうぜ?やるよな?この俺様が誘っているんだからな!」

「少し強引な気がするけど…、もちろんさザナーク。明日、サッカーやろう!」




(本当に叶うなんて!)
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