ラグナロク3回戦、チーム・ガルとの試合で俺達が念動波で苦しめられている時、レイ・ルクはたった1人で敵陣に向かっていき、最後まで闘ってくれた。フェイの父である支援者X…もといアスレイ・ルーンの仲介もあり、俺達はそれ以上失点することもなく、引き分けという結果で試合は終了した。

ガルの攻撃により機能が停止してしまったため、今はメンテナンス中だ。無事に起動するといいが…。

いや、あいつはアンドロイドだ。きっとまた動くに違いない。

でも、そうとは分かっているのにどうしても不安になってしまう。
何故だろう…。



―――「レイ・ルク、レイ・ルク…!!」

ガルの襲撃を受け、機能停止状態に陥ろうとした瞬間、誰かが必死に私の名前を呼ぶ声が聞こえた。声の主はおそらく霧野蘭丸。以前私達とは敵同士だった。それなのに何故、彼は私の名前を叫んだのか…。

まさか、私を"心配"したとでもいうのだろうか。アンドロイドで、何度も修復が可能な私を。

何故…理解不能…―――



俺は気づいた。こんなにもレイ・ルクのことを思う理由は伝えたいことがあるからだ。俺が伝えたいこと。それは俺にとって、あいつはもう"ただのアンドロイド"じゃない。"俺達の大切な仲間"だ、ということ。

無意識のうちに、俺はあいつのことを"仲間"と認識していたんだな…。

それからもう1つ…。



――――そういえばガルの選手は皆、私のことを口々にこう言った。

"アンドロイドが…"、"ただの人形ごときが…"

ガルの選手に限らず、他の人達にもそのように言われたことがしばしばあった。

それに対して、霧野蘭丸は私のことを"レイ・ルク"と、名前で呼んでくれた。彼だけではない。キャプテン、もとい松風天馬も同様だ。

もしかすると彼らは私のことを"仲間"としてインプットしているのかもしれない。そう考えれば、"心配"という行為の理由にも頷ける。

"仲間"…。

その言葉に、私の中に2つの概念が生じた。

しかし、今はメンテナンス中。彼にそれを伝えることは困難だ。

それでも…――――



『いつになっても構わない


今日は言えなかったけれども


必ずいつか伝えてみせる


あいつ〈彼〉への…


"感謝"の気持ちを…』


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