孤独死寸前
ああ。
泣きたくなったのは久しぶりだ。
込み上げてくる感情が抑えきれず、僕の目から雫が落ちた。
泣きたくなったというよりはもう泣いてるな。
雫を手で拭いながら思う。
ぱたぱた、ぱたぱた。
止めどなく流れ落ちるそれは目の前に広がる現実を隠してくれる。
ずっと泣いていられたらいいのに。
「愛していたんだけどな……」
背中に伝わるアスファルトの冷たさと生暖かいものが流れていく感触と錆の臭いが広がる中、僕はひとり呟いた。
孤独死寸前(彼女は今も泣いているのだろうか)
+ + +
僕ではなく
彼女が
孤独死寸前
2008*07*13
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