白黒
白は偽善の色。
黒は偽悪の色。
だから白と黒が好き。
+ + +
真っ白な部屋に彼は居た。
その部屋の家具も壁紙も全て白で統一されていて、唯一色が有るのは彼だけで。
とても目立っていた。
「君は誰?」
「……」
泥棒です☆
とは言えなくて。
「…白」
この部屋の大部分を占めた色の名を口にした。
「僕は黒。よろしくね、白」
平然とそう言う彼に違和感を感じながら握手した。
「ところで白はどうやって此処に入って来たんだい?」
「え?それは…鍵が開けっぱなしだったからよ」
「……ふぅん」
彼は興味無さそうに答える。
……自分で尋ねた癖に。
「何で拗ねてるんだい?」
「拗ねてなんかないよ」
「否、拗ねてるね」
「拗ねてないから」
「嘘だ」
「嘘じゃないもん」
両者、一歩も譲らず。
私はぷぅと頬を膨らませた。
彼は何を思ったのか私の頬をつつく。
「ちょっ…」
「白は面白い人だね」
彼があまりにも素敵に笑うから、私も笑ってしまった。
「白って、偽善の色だと思わないかい?」
「じゃあ私は偽善者ね。」
「だから僕は白が好きだ」
「黒は偽悪の色だと思わない?」
「じゃあ僕は偽悪者だ」
「だから私は黒が好きよ」
部屋には白と黒。
偽善の白と偽悪の黒。
……私と貴方。
+++++
対照的な白と黒。
それから偽善と偽悪。
2005.12.30
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