しょーとすとーりー | ナノ



彼女に首ったけ!


彼女の口癖はとても変わっている。怒っていても泣いていても笑っていても『死んでしまえ!』と言う。
口癖一つで彼女を嫌いになるほど繊細でもない僕は彼女が好きだ。

「すきです」
「死んでしまえ!」

告白してみると、彼女は頬を赤く染めながら口癖を言った。かわいい。
これが俗に言う……なんだっけ。忘れちゃった。まあいいや。
とにかく僕は彼女をますます好きになった。
(だってかわいいんだもん!)

「ねえ」
「なによ」
「手、繋いでいい?」
「……死んでしまえ」

ぽつりと言って彼女は僕に手を差し出した。彼女はそっぽを向いたまま、早く握れとばかりに手を突き出している。
握っていいんだよな、うん。

「じゃあ遠慮なく」

そう言って手をつなぐと、彼女は急に走り出した。
あ、恥かしいんだな。
下校途中の後輩たちの間をすり抜けながら僕は徐々にスピードを落とす彼女に笑いかけた。



彼女に首ったけ!
(恋人つなぎって走りにくいと僕の隣りを歩きながら彼女は言った)




2008.03.02


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