しょーとすとーりー | ナノ



最悪のユメ


なに…これ…

急に腹部に鈍痛を感じ、わたしは視線を痛むところに向ける。

左の脇腹。
そこにさくっと包丁が刺さっていた。

青ざめながら前を向くと、そこには見慣れた人がいる。

だいすきな、わたしの彼氏。

「いい気味だねぇ」

彼は自分の頭上で気怠げに手を叩く。

…わたしを莫迦にしているようだ。

「まさか、あなたが…」
「当たり前だろ?此所には俺と君しか居ないんだよ?」

顔を歪ませて彼は言う。
そして赤色に染まった両手でわたしの顔を掴んだ。

「さよなら、  。すきだったよ」
「…っ、いや…わたし…まだ…」

さくっ。

包丁を引き抜き、わたしの胸に突き刺す。

「ばいばい」

いやだ…
いやよ…

わたし、まだ…しにたくない…のに…

意識が遠のいて、わたしは…





目を覚ますとわたしは自分の部屋のベッドで寝ていた。
相変わらず寝相は悪く、布団も毛布もベッドからずり落ちている。

「…っ」

布団を手繰り寄せようと起き上がると、ひどく脇腹が痛んだ。
はっとしてそこを触ってみるが傷はない。

けれど、とても痛かった。





2007.04.08


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