読書録
*読んだ本についてつらつらと*
※タイトルクリックで内容部分が開閉します。
「恋と恋の間」/野中柊
直感的に借りた作品。
愛とか、恋とか、みんなが信じ込んでいることを鵜呑みにしていない作品だと思いました。
みんな、「愛なんて・・・」と思っているのに、最後にはなんだかんだ進んでいる。こんな形はとても理想だと思います。
そして、登場人物の職業や性格の羨ましいこと!華やかなことはさることながら、こんな強くなりたいと思いました。
あと、おいしそうな描写が多くてうれしかったです。
(02/23 20:34)
「晩年の子供」/山田詠美
「他の作品も・・・」と先輩が貸してくれた本です。
山田詠美さんはたまに読みますが、図書館にハードカバーばかりがそろっており、読みにくいので敬遠することが多いのですが、今回は文庫本で貸していただけました。
山田詠美さんの独特な粘り気のある文章にどんどん引き込まれていきました。
すっと呑み込めない文章。だけど、噛めば噛むほどおいしい。そんなお話を書くのがとてもうまい作家さんだと思います。
「子供の頃、絶対こんなこと感あげてないだろ・・・。」と思いながらも、はっきりと言葉にならないだけで、みんな頭の中はこんなことでいっぱいなのかもしれません。それが大人になればなるほど変わっていくのかもしれません。
(02/09 12:18)
「ガール」/奥田英朗
奥田英朗さんの作品が気に入ったのでもう一冊先輩から借りてしまいました。
マドンナが男視点ならガールはすべて女視点になっています。
男の人が女の人を核とこんな感じなのか、と感じました。女の人が女の人を描くよりも、湿っぽくないです。
もちろん、様々なことで悩むし、社会の中で女性軽視、を意識している女性が多く登場するのですが、全体的にさらっとしている。男性作家ならではかもしれません。
どうしても社会に残る女性蔑視を感じた気がします。表向き、男女平等になっているように見えても、女性の「戦っている」姿がとても印象的に描かれています。
女性の子育てや結婚を社会で働くことと絡めて私たちに訴えてきます。
奥田さんの作品は恋や愛の感情論よりも社会とのロジックな関係を、恋や愛に振り回されやすい人たちがどうやって生きていくのか、なんていうことを書かれていることもあり、安心して読めます。憂鬱にはならないです。
ガールの場合は、スカッとする話からほっこりする話まであるので、読み終わった後はとても清々しい気持ちになれると思います。
(02/09 12:17)
「マドンナ」/奥田英朗
バイトの先輩にお借りした作品。
女流作家をおもに読む私としてはとても新鮮な気持ちになれました。
男の人が書く男の人。しかもこれから喪失の世代に入っていく男の人。今までと同じようにはいけない。自分たちの時代ではなくなってくるという落胆、その中にもある楽しみや喜び、淡い恋を淡々と描かれているなと感じました。
不思議な言い方ですが、写実的に心の動きを描いている感じです。
私はまだ20歳になりたてなので、この年の人たちの気持ちは分からないのですが、仕事場にしろ、家庭にしろ、居場所はなくなるんだなあと。私も父に優しくしなければ!と少しだけ思いました。
一番面白いと思ったのは、女の人は未來(男女平等)を見ていて、男の人は過去(男社会)を見ているということ。これは性差なのか、時代差なのか。どうなんでしょうか?
(02/09 12:12)
「黄色い目の魚」/佐藤多佳子
バイト先の先輩が「裏切られた!」と言っていた作品。
「高校時代の模試の題材になっていて、すごく純粋な恋愛のように描かれていたのに!」
とのこと。読んだら分かります。そんな、一筋縄でいくような恋じゃなありません。
恋というものを純粋に突き進むと、社会という中を純粋に突き進むと、それを実行した高校生の男女が生きにくさを感じながら、寄り道脇道の末一歩進んでいく作品だと私は思っています。
佐藤さんは「一瞬の風になれ」で有名な方です。瑞々しい描写がとてもうまいので引き込まれていきます。思春期の頃の大人と子供の間の揺れ動き。純粋でいたいのにそれを許してくれない社会での葛藤をうまく描いているなと感じます。
この作品では、実際ここまでのことがあるのか?と言われれば微妙ですが、部分部分で共感できるところが多い作品でした。
(01/29 21:01)
「ありえない恋」/小手毬るい
なかなか、私が読む感じの本ではなかったです(苦笑)
時代を感じました。表紙が漫画っぽい絵だったので、興味を惹かれて借りました。
中の言葉一つ一つが一昔前の匂いがして面白いです。昔だったら最先端を行ってた流行りの言葉とか。
内容だけではなく、そういう面が楽しめる小説というのはなかなかないと思います。
今まで読んだ小手毬さんの作品とは一線を画して読んだ方がよいと思います。
でも、今も昔も「ありえない恋」に憧れるのは変わらないんですね。
(01/29 20:59)
泣くような恋じゃない/小手毬るい
ハマったら立て続けに同じ作者さんの本を読む癖が出てますね。
今回は、タイトルで直感的に借りました。
中身は端的に言うと、不倫のお話です。苦手な人は、読まないほうがいいかもしれません。
はっきりとこの話には言及されていませんが、完全に二人の男女が壊れていく話です。その、壊れ方を美化したような感じ。あまり、周りとの社会関係をはっきりと書いた感じではないです。関係の終わりのきっかけも、とっても衝撃的ですが、終わり方自体はとっても静か。
私は嫌いじゃないです。最後に女の人がどうなっていくのか、読み終わった後に想像してみるのもいいと思います。
でも、こんな思いしないと文章って書けないのかしら?とは感じました。
(01/29 20:58)
「まほろ駅前多田便利軒」/三浦しをん
表紙はりんごにタバコ、かっこ意欲てちょっといい感じなのに、ページを開けば無才おっさんの写真が出てきて驚きました(笑)
三浦しをんさんが書いているシリーズの最初です。
いろんなデコボコを持った人たちが苦悩しながらもしっかりと生き抜いていく様。不幸がずっと続くわけではないということ。男の友情。不器用な恋愛。少し道を外れた生き方。それぞれが一つの街を中心に生き生きと描かれていて、読んで正解だったなと感じました。
普段、こってこての恋愛ものを読むことが多いのですが、こんな作品に出会えてよかったと思います。
男同士カッコイイよ。
(09/30 19:14)
「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」/江國香織
とっても有名なこの作品。実は江國顔ってあたしの中にはとっつきにくい印象がありまして、敬遠していました。
だから手に取るのは2年ぶりくらい。
読んでみたらあら不思議。あっさりと読めてしまいました。
ふわふわと宙に浮くような文章の書き方はしていますが、芯はしっかりしていて、様々な女性の「覚悟」が心の中に染みてきました。
女性の覚悟は美しいな、と感じる一冊です。
(09/30 19:10)
「雪になる」/谷村志穂
アンソロジーでしか読んだことがなかった谷村志穂さんの作品。短編集になっています。
私が読む文章に比べたら淡白な印象を受けます。色でたとえたら一色。雪になるの性描写も、白を基調に少し黒とピンクを混ぜたような感じ。でも、読み終わった後は虚無感をきちんと感じます。年を取ると、みんなこんな感じになるのかなあとおもうと少し悲しい。そういう虚無感を感じます。
「雪になる」は白。「上等な玩具」は紫。「ねじれた親指」は緑。「かさかさと切手」は紺。「ここにいる」は赤。「三つ葉」は灰色。こんなイメージです。
みんな不満や不安やほころびをもって生きていることを再確認するお話でした。
(09/07 19:36)
「憤死」/綿矢りさ
ちゃんと「憤死」を借りてきました。
かわいらしい表紙に反して中身はえげつなかったです。ホラーと言っても過言ではない恐ろしさ。読みながら何回も描写を脳内で映像化して怖くなりました。映画化したら、途中までは完全にホラーです。

「トイレの懺悔室」は完全に最後までホラーにしか見えなかったです。ラストの方は何回も読むの中断しました。最後のゆうすけの凶器に帯びた感じが怖かったです。少年時代の不思議な思い出がこんな風になるとはだれも思わないですよね。
「人生ゲーム」はやけに今の時代にリアリティがあるなあと思いました。会社が倒産とか、半沢直樹じゃないですか(見てないけど)。一歩間違えれば誰だって人生ゲームの良くないマスみたいな経験をしてしまって、ゲームオーバーになりかねない。小説として、フィクションとして受け取るには少し重すぎるくらい現実味を帯びていると思いました。

とりあえず、この見た目でこの中身っていう、綿矢りささんのセンスに感動しました。見た目は、キティーちゃんみたいです。かわいい。
(09/07 19:30)
「野菜畑で見る夢は」/小手鞠るい
この本は、野菜に関連したショートショートの詰め合わせになっています。
最初は独立したお話に見えても実はつながっている。それは親族という関係性もありますが、「野菜」というものでつながっている気がします。
色の違うショートショートが一つに収束していく姿にとても驚きます。
ハッピーエンドで終わっているけど、お手紙を書いていた人が天国の旦那さんに会えているかは(当たり前だけど)明記されていないので、会えていたらいいなあと思います。
あとは、料理の描写が多く、レシピらしきものも載っているので作りたいです。
小説に出てくる料理の引き寄せられてしまう謎の魅力は何なんでしょう。がレットを食べてみたくて仕方なくなりました。
その前に家庭菜園がしたいです。
(09/07 19:23)
「シーツとシーツのあいだ」/小手鞠るい
表紙とタイトルからは、こんな話だとは思いませんでした。
この前の「ふれていたい」からは考えられない!全然違う色の話です。
あまりにも強烈で、その日の夢に出てきました。
「幸せってなんだろう?」というのを感じる作品。
カクテルがたくさん出てきて、お酒の興味を持ち始めた新成人の私は読むたびに楽しくなります。自分で作ってみたい。
(08/23 15:51)
「勝手に震えてろ」/綿矢りさ
読書会で綿矢りささんの作品を読んで感激して、すぐに図書館で借りてきました。
読書会に出席していた方がおすすめしていて楽しみだったです。お勧めするの分かる!
綿矢さんの何かが欠落した主人公が読んでいて楽しいです。
あれが、ハッピーエンドかどうかが怪しいですけどね。最後の最後に名前が出てくる感じはハッピーエンドなんだろうけど・・・。成長したという意味ではハッピーエンドなんだろうけど・・・。でもうまくいかない感じですけど・・・。
テンプレ的な「ハッピーエンド」じゃないところが綿矢さんの作品の魅力なのかもしれないですね。
(08/23 15:33)
「憤死」(短編集から)/綿矢りさ
県立図書館での読書会で読んだ作品です。初めて読書会に行ったんですけど、とっても楽しかったですね。自分の意見が極端だなあと感じたりしました。様々な人の意見を聞いて「こんな意見もあるのか」と知見が広くなったと思います。
自殺未遂をした幼馴染のところにお見舞いに行く話。ひねくれた主人公と自分の感情に素直な幼馴染が社会人不適合な感じで、楽しかったです。自分も相当ひねくれているので、楽しくて楽しくて仕方ないです。
お互い好きなのに嫌い、というような複雑な気持ちにリアリティーがあって素敵でした。
この二人に「たくましく生きている」という考え方を持っている人がいて、あたしはこんなこと考えられないなあと思いました。

昔、綿矢りささんの作品を読んで面白さが分からなくて、敬遠していたんですけど、久しぶりに読書会という機会を得て読んだらとても面白くて、昔は綿矢さんのユーモアについていけなかったんだなあと感じました。
(08/23 15:27)
「メロディ・フェア」/宮下奈都
化粧品会社に就職した女性の話。激しい展開は少ないんですが、するする読めて、いつのまにか成長している話。
化粧品会社の話だから、顔の描写が細かくて、想像しやすいです。眉毛についてあんなに書いてる本はなかなかないと思います。
そして、会話文は作者の出身地に関係しているのか福井弁なのが、福井出身の私にはときめくポイントです。
恋愛要素も強くないけど、ほのめかす感じがうまいなあと思いました。
(08/23 15:16)
「ふれていたい」/小手鞠るい
小手鞠るいさんのが2006年に書いた作品。忘れられない男と今自分を思ってくれている男の板挟みです。
この本はそれだけじゃなくて恩師の死を通して様々な視点から恋愛と生きることを見つめていて読みやすいのに深いです。
そして、描写が素敵。インドネシアなんて行ったこともないし、なかなか見ないんですけど、描写がきれいで引き込まれました。脇役の恋愛にも注目すべき。
小さな恋愛があちらこちらでい起きていて、みんなそれぞれに生きてる。こっそりと、でも、しっかりとした重量で様々な恋愛をちりばめられているという印象を感じました。
読みやすいのでお勧めです。
(08/17 00:16)
「放課後の音符」/山田詠美
山田詠美さんの17歳の高校生の恋愛模様を描いた短編集。
この中の、Sweet Basil という作品に、高校二年生の筆記模試で出会いました。こんな作品を国語で解かせるとか無茶ぶりだという印象と、この作品を読んでみたい・・・!という二つの強い気持ちを持っている作品でした。
読んだ感想としては、瑞々しい!!わたしも高校生の頃は、今よりも感受性が豊かだったなあと。
そして、短編にこれだけの比喩を入れ込みながら作品として暴れることもなく、きちんと収束させていることに驚きました。
そして、未來が描かれていないことも魅力の一つだと思います。この作品集は「17歳のこのとき」を切り取っているので、この人たちの未来や、結果には重点を置いていません。それらを想像するもの楽しいかもしれません。
このみずみずしさはこの時のものだけだと思いつつも、このままでいたかったという思いになる作品でした。
(08/08 16:26)
「小暮荘物語」/三浦しをん
最近だだはまりの三浦しをんさんの作品です。
ほのぼのしたお話かと思って図書館で借りたら、思った以上に下ネタ要素の強い本でした。一章ずつ同じ空間の別の人が主人公になっている話(群像劇)になっていて、一風変わった性の話や恋愛の話が盛りだくさんです。
あんなところにいたら楽しいのかなあと思う反面、きっと、あの場では「普通の日常」があって、その中で人のつながりや縁によって一風変わった日々が紡がれていったんだろうとも思います。
人の縁は大事にしたいですね。
(08/01 20:33)
「彼方の声」/村山由佳
おいしいコーヒーの入れ方セカンドシーズン6冊目です。
もう8冊目も発売されますね。
久しぶりに読んでしまいました。読まされ他のほうが正しいかな。
この本のキャラクターは個性があってどこ人も好きなんですけど、アレックスがすごく式です。不器用な感じ。もちろん、んみんな不器用なんだけど、彼女の場合、家族や立ち位置によるプレッシャー、自分に降りかかったことに対する口惜しさ。すべてがうまく消化できずにあんな正確になっているところがなんだか親近感がわきます。
「若い人の小説離れを食い止める」がテーマらしいので、読みやすいし、展開もわかりやすいですが、やっぱり「村山由佳!」って感じがあって好きです。
ちなみに、ネアンテルダール人は好みです(笑)
(06/19 19:39)
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