おまめ様ネタ提供作品
『来神組でコスプレイベント参加』
※管理人はイベントに行ったことがないので100%捏造です。










あれはいつだったろう。1、2ヶ月は前だった気がする。そのくらい前に、やけにニヤニヤした臨也と新羅に採寸された。俺だけじゃなく門田もだった。
やっぱり着物だとかいやいや中華だとか、鼻息荒くしてしゃべくりながら採寸されたあの時、たしかに思ったんだ。これはただで終わるわけがないと。


「……しばらく何もなかったから気にしなかったけど、そうだよな採寸したってことは服作るってことだよなぁ……」


迂闊だった、と舌打ちしながらも袖を通したのは軍服だった。軍服といえば俺は迷彩だと思ってたんだが「それは自衛隊だ」と一括された。


「おっ、なんだ静雄似合うね。写真撮らせてほしいっていう人いっぱいいるんじゃないかな?」
「なかなか似合うぞ」


壁にべたりと背を預けていた俺に駆け寄ってきたのは、カンフー服を着た門田と、何を血迷ったのかスリットの深いチャイナ服を着た新羅だった。
元々童顔で中性的な顔をして化粧もしているからか、けっこう女に見える。
スリットからのぞく脚も運動とは無縁だったから筋肉質ではなく、まあ見れるものになっていた。

なんで俺たちがこんな奇抜な格好をしているのか。それはコスプレイベントだからとしか言いようがない。目の前にいるチャイナ男と今は席を外している臨也が、そりゃあもうものすごい剣幕で頼み込んできたからだ。脅迫、と言った方が正しいかもしれない。
「一緒に行ってくれなきゃ殺す」「俺の作った服着てくれなかったら死ぬ」などと、泣きながらナイフとメスを振りかざされたら断れなかった。俺は無事だろうけど門田は死ぬだろうからな。


「いやあ、それにしても二人ともよく似合うよ!高身長だし顔もいいし、ほんと得してるよね。僕もそういうの着たかったんだけどさ、ほらちょっと似合わないから……。こっちの方が似合うってセルティにも絶賛されたから……ああセルティ、君にベビードールを着て参戦してほしかった!」
「岸谷、ベビードールはコスプレなのかよくわからないがまずいと思うぞいろんな意味で」


あくまで冷静な門田に拍手を送りたい。おそらく日々狩沢を相手にしているから慣れているんだろう。新羅は身長こそ高いが顔と格好で今は女に見える。
しかし声は立派な男だから、つまりはそんな大きな声出すんじゃねえよめちゃくちゃ見られてるじゃねえか。

やりきれなくなって俺はそっとその場を離れる。悪いな門田、新羅のことは任せた。
俺は臨也を探しに行くことにした。あいつはどこに行ってもふらふらしてるが、俺の手にかかれば探すことなんて容易い。気配というかにおいでわかる。

臨也は後で行くといって俺が先に出たから、あいつが今どんな格好をしているかなんてわからない。実は少し楽しみだったりもした。
大勢の人間がいるが臨也のにおいだけは明瞭にわかる。歩を進めるに連れどんどん濃くなるにおいに口角をあげた。目の前に一際においの強くなった人物。その後ろ姿から判断はつかないが、間違いなくこいつだと思った。貴族が着るみたいな、歩きづらそうな紫色のドレスには少々戸惑ったが。


「おい臨也!勝手にちょろちょろしてんじゃねえよ!」
「あ……ッ!?」


ちょっと強く肩を掴めば大袈裟に体が跳ねる。声が臨也と若干違う気がした。体を反転させてよく見てみれば、そいつは人工的な不思議な色をした目に怯えを含ませていた。目の色、赤くない。臨也は俺に怯えた表情なんて見せない。

人違い、だった?相手が臨也ではないことに気づくと、一瞬で身体中の血が凍りついたような錯覚を覚えた。


「わ、悪ィ!俺勘違いしてたみたいで……!肩痛くねえ……あ、痛くない、っすか?」
「大丈夫、です。あの……ここは人目につきますから……」
「あ、ああ」


たしかに視線が痛いほど集まっていた。なるべく人の少ないところへ移動し、女をベンチに座らせて俺は自販機に向かった。ちくしょう、全部臨也のせいだ。


「……えっと、コーラ。ほんと悪いことしちまったから……すみません」
「いいえ、気にしないでください」


せめてもの詫びのかわりにコーラを渡す。受けとると女はコーラを上下に激しく振り立てた。


「おい、そんなことしたら……」
「えいっ」


あれ、臨也の声じゃねえか。
そう思ったのと顔面に勢いよくコーラが散ったのは同時だった。


「あっははははははははははははははシズちゃん超うけるー!俺とは気づかないでコーラ被ってあはははははははははははははははははははははははははははは!!」
「うるせええええええこの腐れノミ蟲がぁぁぁああああ!!」
「キャーッこわーい!」


毛先からコーラを垂らし臨也が座っていたベンチを振り上げながら、もうイベントになんか絶対こないと誓った。





 
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