気持ちいいことが好きなんだ。人間ってそういうものだろ?

そう俺の耳元で囁かれた媚薬の言葉に、淫魔というものが実在するのならきっとこういう奴なんだろうなと思う。臨也は俺を化け物扱いするが、俺から見たら臨也だって立派な化け物だ。

ベストを脱ぎ、はだけたシャツの狭間からするりと俺の肌をなぞる指先は官能を含んでいる。女と違ってただの飾りでしかない胸の突起を、指の腹で押し潰されても特に何も感じない。

「……気持ちよくないの?」
「乳首で感じる男なんざ手前だけだ」
「んッ」

薄いカットソーの上から乳首を摘まむ。きっと淡いピンクから痛々しいまでの赤に色を変えているんだろう。何度か繰り返していると、ぽちりと服の上からでも突起が主張しているのがわかった。

反撃するように体を倒した臨也は俺の首筋に顔を埋め、吸い付く。なかなか痕の残らない俺の肌にはうっすら色がつく程度だった。
それが不満だったのか今度は噛みつかれる。きっと食い破る気で噛みついているんだろうな。俺には甘噛み程度にしか感じないがそれで歯形はくっきり残った。唾液で濡れた口を拭う臨也は満足そうだった。

「ふふ、シズちゃんが俺のものだっていう証……」
「じゃあ手前が俺のものだっていう証もつけていいんだよな?」
「うん、どうぞ?」

いつも首もとの開放的な服をしている臨也は、隠しようがないんじゃないかと思ったが虫除けにもなるだろうしいいか。この糞生意気な淫乱ノミ蟲は、性別の壁を越えて欲の籠った視線を浴びせられている。本人は全く気にしていないようだが俺としては気が気じゃない。

俺とは違いちょっと吸い上げるだけで簡単に痕がつく。力加減を間違えたら少しグロテスクになるくらいだ。生っ白い肌にはよく映えるというよりは目に毒だ。
首もとにはうざったいくらいに痕を残したから、今度は服をまくり上げ胸元に。まっ平らな胸の間に、乳首にほど近い位置に。乳首にはあえて吸い付かないでやると、臨也は切なげな声をあげた。このまま放置して機嫌を損ねると悪いから舌で押し潰した。臨也の体が跳ねた。

「ん、ぅあ……!」
「そんなに乳首感じるのかよ。コリコリして飴玉みてえ……」
「ひゃ、あ、そんな吸わないで……やぁん!」

ガキみたいに乳首を吸いながら、ベルトを外しズボンと下着をずり下ろす。臨也の下半身はもうぐしょぐしょだった。穴はまだ堅く閉ざされている。しかし臨也の先走りを絡めた指は容易く二本ほど入った。今まで散々愛し尽くしたそこは、もはや男を受け入れるための器官となっている。
ちょっときついくらいがちょうどいいのだと、慣らしもそこそこに寛げたズボンの中からすでに臨也の中に入りたくてたまらない怒張を引き出した。思春期かよ、と苦笑するくらいにだらだら先走りを溢すそれを臨也の穴に押し付ける。

「あ……まだ、だめ……入んないよ……!」
「大丈夫だ、手前なら入るって……おらっ!」
「ひぁあああああああ!?」

一気に奥まで押し込むとぎゅうぎゅう俺を締め付けて射精した。ところてんかよ。無理に入れたのに縁をなぞっても血はつかない。臨也は痛みでさえも快楽に変える。その浅ましさですら興奮した。

中に馴染むのも待たずに律動を始める。イったばかりの臨也には辛い刺激だろう。だが待ってやらない。俺に我慢なんてできるはずがなかった。

「やらぁ……ひっ!まだだめぇ、くるひっ中!だめええええええ!」
「だめじゃねえだろビッチが!」
「ひやぁ!?」

臨也のちんこの根本をきゅっと締める。簡単にはイけなくなった臨也が泣きながら髪を振り乱して叫んだ。
イきたいのにイけない辛さというのはよくわかる。なぜならこの間臨也に根本を縛られたまま挿入したからだ。紐を外そうとする度に刺された。結局俺がイけたのは臨也が気絶してからだった。

これは復讐だ。臨也も俺と同じ目にあえばいい。根本を締めたまま前立腺目掛けて腰を振れば臨也は泣きじゃくった。文句の言葉すら出ず、普段人を惑わす口からは鳴き声と喘ぎ声しか出なかった。

「ぅ、いあああぁああ!やーっ!ふぇ、ぇ、あ!イ、く!イかしぇてええええ!!」
「だめだ我慢しろ。っあー、俺はイくわ。手前はまだな」
「やっやだやだやだぁあ!ひゃぁああああああああ!」

一際奥まで穿ち精液を叩きつけると、臨也は大袈裟に体を跳ねさせた。中は絶頂を迎えたときのようにうねり、握ったままのちんこもびくびく震えている。

目の焦点が合っていない臨也は口端から唾液をこぼしていた。顔の前で手をひらひらと振ってみても反応がない。気絶したのかよこいつ。それも、たぶん射精しないでイった。

「ったく、どうしようもねえ変態だな」

悪態をつきながらも、俺は開いたままの臨也のまぶたを閉ざしてやった。





 
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