「…ほんっと、見かけによらず意外と力あるよね新羅って…」
「これでも静雄に殴られても内蔵破裂しないように鍛えてたからね」


臨也は新羅の腕の中にいた。もっと言えば、所謂お姫様だっこをされていた。寝室まで連れていけと言う臨也に新羅がとった行動がそれだったのだ。

ぽすん、と臨也をベッドの上に横たえる。新羅はベッドの縁に腰かけた。


「……それで、どうすればいいんだい?」
「そうだね…とりあえず眼鏡とって」
「…眼鏡とったら視界がぼやけるんだけど」
「なんとなくわかったら平気だろ」
「う…」


新羅に逆らう術はない。外した眼鏡をサイドテーブルにおく。急激に変わった視界に慣れようと新羅は何度か目を瞬かせた。


「やっぱり新羅、眼鏡ないとけっこう可愛い顔してるよね」
「それは褒めてるのかな貶してるのかな?」
「褒めてるんだよ」


クスクス笑いながら臨也は新羅を引き寄せる。臨也の体の上に新羅の体が重なった。互いの顔は鼻と鼻がくっつきそうなほどにまで接近している。


「臨也?」
「キスして。何でもしてくれるんでしょ?」
「…了解」
新羅の唇が臨也のそれに触れる。ちゅ、ちゅ、と何度か軽くキスを落としてから舌先でペロリと舐めあげた。
それを合図に臨也の口が開かれる。その好機を逃さずに新羅は舌を割りいれた。臨也からも積極的に舌を絡め、くちゅくちゅと唾液の混ざる音がする。
その間に新羅は臨也のインナーの中に手を差し入れた。ブラの上から胸を揉んでいると、臨也の声がよりいっそう甘くなる。


「ん、ふぅ…ァ!やらぁ…キスしてしか言ってないのに…」
「ごめん、つい…」


しかし新羅の手は止まらない。谷間付近を指でなぞり、埋める。そのままぷにぷにと押すと臨也は太ももで新羅の体を挟みつけた。


「もう…まだだぁめ。次がしたいなら私の服脱がせてよ。もちろん新羅も脱いでね」
「…君の望みは一体いくつあるのかなぁ」
「嫌なの?俺にたくさんあんなことしたくせに…」


臨也の瞳が微かに潤む。新羅は慌ててかぶりをふった。


「嫌じゃないよ!ただもどかしいなぁって」
「馬鹿正直者め」
「それが取り柄だからね」


先に自らの服を脱ぐためネクタイを弛めた新羅に、臨也の胸は高鳴った。よほど余裕がないのか、衣類がせっかく畳んだはいいもののぐしゃぐしゃになっている。放り投げたほうがまだよいのではないか。ついそんなことを思ってしまうほど新羅は雑に服を脱いだ。

しかしそれとは対称的に臨也の服を脱がす手つきは至極優しい。壊れ物でも扱うかのようで、今までの新羅との違いに戸惑いもする。下着も何もかもを剥ぎ取り、二人とも一糸纏わぬ姿となる。
臨也は手を自分の胸に当てて一息ついた。


「どうしよう…俺、すごくドキドキしてる……」
「僕もだよ、ほら」
「あ…」


反対の手を新羅の胸に合わされると、臨也は自分と同じくらいに新羅の心臓が脈打っていることを知った。ドキドキしているのは自分だけではない。それが臨也にとってはとても嬉しいことだった。

だが新羅は臨也からは目をそらしている。それはさすがに不満だ。


「新羅、どうして俺のこと見てくれないの?」
「だって…こういう風にするの初めてじゃないか…。だから何だか新鮮というか、子恥ずかしいというかね…」


何を今さら。そう思いはしたが、臨也も気持ちは一緒だった。
新羅の頭を抱え込み乳に埋もれさせる。新羅は突如顔がやわらかく温かいものに包まれショートした。


「――――ッ!?臨也!?」
「俺のおっぱい、初めて会った頃と比べたら大きくなったでしょ?」
「まあ…10年近く前っていったらまな板だったしね…」


中学生の頃の臨也の肢体を思い出す。整った幼さの残る顔に未成熟な体はそういう嗜好の人間にはたまらなかっただろう。新羅はいつも気が気ではなかった。
それは今になっても変わらないんだけど…と苦笑する。


「ねえ知ってる?女の子のおっぱいって恋したら大きくなるんだって」
「迷信じゃないの?」
「女性ホルモンの活発化…とか考えたら簡単に迷信とは言い切れないんだよ」


むにゅ、と新羅を未だ抱えたまま片側をよせてみる。


「つまりさぁ、俺のおっぱいってほとんど新羅のおかげで育ったようなものなんだよね。どう?興奮する?」
「…僕のおかげかぁ……」


新羅は嬉しそうに言うとちゅう、と目の前の胸に吸い付いた。臨也の肩が揺れる。


「僕のおっぱい…きもちいい、可愛い…」
「俺のおっぱいなんだけど」
「いいや、僕のおっぱいだ」
胸元に頬擦りされるとぞくぞくとした何かが背筋をかけ上がる。我が子を抱き締めるように新羅の頭を撫でながら、臨也の心は充足に満ち溢れていた。





 
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