豆豆様ネタ提供作品
『赤林と絡む事をやたらとお願いする臨也と何故お願いされているか理解できない一般人四木。臨也は四木には腐男子を隠していて四木受派』










特徴的な青いビニール袋を抱えた美青年と、袋から某キャラクターの抱き枕をはみ出させている右目に傷のある男が並んで歩いている。そんな何とも気妙のような痛々しいような光景が昼間の池袋にはあった。


「助かりましたよ赤林さん。今日はシズちゃんが仕事だから戦利品を持ってくれる人がいなかったので。新商品発売日には普通休みとるものなのに全く…」
「折原さんのその考え方にも、彼氏が都合つかないからって通りすがりの仕事相手にパシらせる発想にもおいちゃんびっくりだ」
「どうせ今日は暇だったんでしょう?ちゃんと知ってるんですから」


そう言って笑う臨也は年齢よりも幼く見えて何とも可愛らしいものだった。だからこそ赤林は悲しいと思う。
こんなに見目麗しいというのに中身はいろんな意味で腐敗しきっていて目も当てられないのだ。それだけならまだ良いとして池袋最強の男を彼氏に持っているのだから手を出そうにも無理がある。


「本当ならコミケの新刊も買い占めるつもりだったんですけど、赤林さんにそこまで持たせたらさすがに悪いですしね。それは明日来たときに買います」
「今日ですらこんなに買ったのに明日も来るとは恐れ入るねぇ」


赤林は自分が持たされた抱き枕と臨也の持っている袋を一瞥する。臨也の持っている袋からはポスターが二本ほどはみ出ているし、ところどころ四角く角張っていることからフィギュアをいくつか買ったことが予測される。自分たちが情報を買った金がこのようなものへの資金になっているのかと赤林は少し複雑な心境になった。


「…あ」
「?」


臨也は何か思い出したように声をあげる。


「そういえば今日は茜ちゃんに会いに行く予定だったんですよね。どうしようかなこれ…」
「…うちのお嬢との約束ド忘れしてたんですか」
「忘れてませんよ。お土産にそのプリキュア抱き枕があるんですから。予約していたのは今日届いたんですよ。ただちょっと粟楠会に行くには大荷物かなと思いまして」
「お土産は嬉しいんだけどねえ………」


抱き枕は袋から顔だけのぞいている状態であり、その顔は愛らしいことにはかわりないのだが明らかに公式の絵とは異なっている。それが同人のものであるとすぐ理解した赤林は、よくある下着パターンや全裸パターンでないことだけを願った。

二人は途中でタクシーを拾い粟楠会事務所近くで降りてそのまま真っ直ぐ向かっていった。臨也の戦利品は赤林の部下のものに一時的に預けるということになった。
二人で茜の部屋に向かう途中、臨也はある人物の姿をとらえてパァッと顔色を変えた。


「四木さん!」
「ああ、折原さん。誰か仕事を頼みましたか?」
「いいえ、今日は茜ちゃんに会いに」


臨也の変わりように赤林は冷や汗をかいた。こういうときの臨也を赤林は知っている。目の輝きが違うのだ。今の臨也の目は萌対象を見つけたときの輝きを放っていた。


「四木さん、今夜食事にいきませんか?四木さんと赤林さんと俺の3人で!」
「赤林もですか?」
「はい!もちろん全額俺がもちますから!今夜は何も予定はありませんよね?」
「ええ、特には」
「おいちゃんも暇だよ〜」
「よかった、美味しい懐石料理のお店をきいたんですよ」


ここまでを聞けばただの食事の誘いでしかないが、何の魂胆もなしにそんな誘いをする臨也ではなかった。


「俺のことは空気か何かだと思ってくれてかまいませんよ。思う存分二人の世界を繰り広げてください」
「え?」
「俺は四木さんと赤林さんが仲睦まじく絡んでくださればそれでいいんですよ。赤林さんと一線越えちゃうようなことしてくれても、ね?」
「本当に冗談が好きな人ですね貴方は。では私はこれで」
「はい、時間などは後程連絡します」


四木は冗談だと思っていたようだが、臨也の言っていたことは全て本気だった。四木が去ってから、臨也は赤林の肩をぽんと叩く。


「四木さんはきっと初めては正常位で優しく、それ以降はちょっとマニアックなくらいが好きだと思いますよ。頑張ってくださいね!」
「…頑張れと言われてもおいちゃんノンケなんだけど」
「頑張ってくださいね!!」


赤林は悟った。臨也には何を言っても無駄だと。

赤林は自らの安息のために、どうすれば四木を押し倒せるか模索することになった。





 
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