2週間連続セックス計画7日目。ようやく1週間がたつらしい。あと1週間なんてとても堪えられない。

俺は真っ向からシズちゃんに立ち向かおう。もう、我慢できるか。


「シズちゃん、俺は2週間連続セックス計画を1週間連続セックス計画に改名することを所望する」
「いやだ」
「せめて少しは考えろ!」


即答するのは悪い癖だよ。人の意見に耳を傾けようよ。
今日は負けない。なにがなんでも負けない。口でなら絶対俺が勝つ。戦うんだ、安息の日々のために!


「いいかいシズちゃん、今の俺はどんな状況か言ってみなよ」
「…俺が来てやってるのにベッドから出てこないノミ蟲野郎」
「ムカつく発言ばかりだけどそこは目をつぶろう。シズちゃんの言う通り俺はベッドの中だ。だけど出てこないんじゃない、出れないんだよ」


俺は昨日の激しいセックスで初めて気絶した。そして身体にかけられた負担は重かった。
体全体だるけがあるし、腰は痛いなんてものじゃない。指先ひとつピクリと動かすだけで壊れてしまいそうだ。
こんなセックスばかりしてたら俺は死んでしまう。俺だってセックスするのが嫌だから言ってる訳じゃないんだ。


「ねぇ、二度とセックスしないって言ってる訳じゃないんだよ?ただ俺の体がこれ以上もたないだけで…」
「…なるべく抑える」
「いや、問題はそこじゃなくて…」
「俺は自分の言ったことは曲げねぇ。なにがなんでもヤり通す」
「ちょ、いやだってばぁ!!」


布団を剥ぎ取られ、下肢を暴かれる。動かない体では何の抵抗もできなかった。
つぷり。指先が沈められる。


「シズちゃん!本当に無理なの!やだ!やだぁ!」
「入りそうだな…よし」
「ひ…っやああああああ!!」


埋め込まれた熱い質量。痛い痛い痛い。体も、心も痛い。
いやだって言ってるのに。心からそう言ってるのにシズちゃんは何も聞いてくれない。
こんなシズちゃんなんて嫌い。大嫌い。もう勝手にすればいいよ、どうせ俺なんてただの生きたダッチワイフみたいなもんなんだろ。

しかしシズちゃんは動かなかった。代わりに、俺を抱き締めた。


「しず、ちゃ…」
「悪かった」
「え…?」
「今日はいれるだけでいい。…悪かった」


ぎゅう、と腕の力が強くなる。けれど抱き潰さない程度の力加減は心地よかった。


「昨日はさすがにヤりすぎたと思う。抑えがきかなかった。だから布団から出られないんだろ」
「…わかってるんじゃん、ちゃんと」
「だけど、手前見てるとシたくなる。自分でもどうしようもないくらいに。どうしようもないくらい、手前に惚れて、手前のこと好きで……悪い」
「謝らないでよ、馬鹿」


何もない、ぺったんこの胸に顔を埋めたシズちゃんの頭を撫でる。染髪して傷んでいるはずなのに指通りはさらさらしていた。


「俺、怖かったんだよ。シズちゃんはただヤりたいだけなんじゃないかって。俺が何も言わないから都合がよかっただけなんじゃないかって」
「違う!」
「うん、それはさっきのでわかった」


本当に怖かった。なるべく思わないようにしてたけど、心の奥底で燻ってた切ない気持ち。
不安だった。こんな関係でいいのかって。だけど、もう大丈夫だ。


「シズちゃんの口から聞けてよかった。知ってる?シズちゃん好きなんて全然言ってくれなかったんだよ?」
「そうだったか?」
「そうだよ。言ったとしてもセックスのときだけだから、ただのリップサービスじゃないかって…」
「…言っとくけどな、さっき言ったのも今まで言ったのも本心だからな」


……ああ、そうか。今は一応セックス中なんだ。
俺の中にいるのに大人しいシズちゃん。ふふ、変な感じ。


「シズちゃん、動いてもいいよ」
「あ?でも手前、体…」
「平気。でも激しくしないで。…入れてるだけって、生殺しだろ?」


―――俺も、君もね?

そう言うと、顔をあげたシズちゃんは綺麗に笑ってみせた。


「…動くぞ、臨也」
「うん、シて…」


いつもよりずっとおとなしいセックスなのに、いつもよりずっとずっと気持ちよかった気がした。





 
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