まず自分のものとはいえ血をかけられれば普通は驚く。
静雄が他の反応を示すより先に臨也は舌を這わせた。血を舐めながら舌先は胸筋を愛撫するように動く。胸にかかる髪の毛や熱く濡れた吐息がくすぐったい。血と唾液でべとべとになった胸にすり寄りながら、あいている手は静雄の股間をまさぐっていた。固く存在を主張していた静雄の熱をズボンから解放する。ぶるんと現れたそれに目を細める。

胸を舐めながら静雄の性器にまで刺激を与えた。視覚的にも肉体的にもかなりクる。もしかしたらこのままイけるのではないかと緊張していると、冷たい液体が性器にふりかかった。

「うぉわぁああ!?」
「あっ、ごめん。冷たかった?」
「てめっ!いきなりやるんじゃねえ!」

冷たい液体とは当然血である。性器が血にまみれている様は輪をかけてグロテスクだ。性器がちょっと萎えてしまう。

「……なんていうかさぁ、血尿みたいじゃない?こわーい」
「誰のせいだと思ってんだ!あぁ!?」
「わあ!シズちゃんが怒鳴ったら血まみれのシズちゃんびくびくって震えたよ!血散っちゃった!」

普段臨也は静雄に対して散々デリカシーがないだのなんだの言うが、臨也自身も大概である。
静雄の気分は急降下していたが、完全に萎えきる前に臨也の口がぱくんと加えてしまった。冷たい液体のあとに温かい口腔に迎え入れられ、静雄の性器は再び頭をもたげる。現金なものだ。

「んむぅ、ふ……っ!おいひぃ……ちょっと苦いけど、先走り混じってる……?」
「るっせえな。黙ってしゃぶってろ」
「そうさせてもらいまふ…………んじゅっ」

足の間でいつもよりも濃い水音が響く。臨也はアイスでも舐めるように丁寧に、悪く言えば意地汚くしつこいくらいにしゃぶっていた。血を丹念に舐めとる動きが自然とそうしてしまっているようだ。
臨也の舌は普段フェラチオをするときにはしない部分までのびていった。まずは睾丸だ。睾丸の皺をのばすように舌をべったり当てる。皮膚の薄い部分のため冷や冷やしたが、臨也もそれはわかっているのか深追いはしてこなかった。代わりというのもなんだが陰毛にはしつこく舌を這わせた。鼻先を埋めたり唇で挟んで少し引っ張ったりという、娼婦くらいしかやらないのではないかという芸等をされて頭がくらくらした。興奮しただなんて言わないが。

「んぶ、っ、ぅー……ぐぷ、ぷ、ぅ」

血が完全に舐めとられきっても陶酔したように臨也はやめない。
臨也が諦めるより先に静雄の限界がきた。臨也の口から出た性器が頬を打ったと同時に、静雄の欲望は勢いよくはじけてしまった。

「んひゃあ!?あ、せーえきっ……!」

顔の右半分がべっとり白濁に汚れた。顔射をするのはそう多い回数をこなしていない。目に入れば失明するかもしれないという話を聞いてからなおさらだ。手の甲でぐいっと精液を拭ってもなお滴るそれに臨也は顔をしかめた。

「血じゃ……ない……」
「当たり前だろ。もう血はねえよ。さっきので最後だ」
「そんな……俺の血……!俺の血が……!」

悲劇のヒロインばりにがっくりとうなだれて動かなくなってしまった。名前を呼んでも軽く叩いてもびくともしない。性器で頭をはたいても無反応だった。よっぽど血に飢えているらしい。静雄だって血をあげたいが、献血するにも許容量をこえてしまうし機材すらない。
直接吸わせたら静雄が吸血鬼になってしまう。
どうしたものかと悩んでいるうちに臨也は体勢を変えていた。例えるならば、前のめりにすっころんで皿を割った少女がその状態のまま止まったようなものだ。もっとわかりやすく言えば頭を床に擦り付けるほど下げて、腰だけを高く上げている状態だ。

悲しみに暮れた末の体勢だが、残念なことに腰を突き出して誘っているように見えなくもない。

バスローブをべろんと捲れば白い尻が晒される。相変わらず男のくせに張りがあっていい形をしていた。触れれば吸いつくように指が沈み、手触りの良さを存分に伝えてくる。

「……何?いれるの……?」
「きもちよけりゃ何だって血の代わりになるんじゃねえの」
「ははっ、それは名案だ。じゃあ……きもちよくしてみせてよ」

自ら両手で尻たぶを掴み静雄を受け入れる穴を空気に晒す。普段の臨也ならめったにしないサービスだ。だからこそ自分もそれにしっかりと応えなければいけない。フェラチオのおかげで性器は充分に濡れていたため、すぐに切っ先を穴に押し当てた。臨也が「ぁ、」と小さく声を上げる。いきなりはだめ、とでも言いたげな臨也を無視して、一気に腰を進めた。

「んっ!ふぁあっ!あ、あ!くる、しぃ……!」
「っ……」

やはり少し無理があったらしい。内部は食いちぎらんばかりにぎゅうううっ!と体内の異物を締め付けた。静雄からしてみれば出血を促すような締め付けに感じられないこともない。もし性器にこれ以上の激痛が走ったら迷わずぶん殴ろうと決心する。




 
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