名前の目がキラキラと輝くのを、僕は見逃さなかった。彼女は、中学からの馴染みである静雄を家族のように愛していた。

「しーずーおー!!!」
「あっ、ちょ、名前!」

カフェオレ代を僕に託し、急いで外に駆けていく彼女を止めるすべは僕には無い。代金を払い、店を出るも、すでに彼女は静雄に抱きつく5秒前。

「ぁあ゛……!?」
「静雄!久しぶりー!」
「!?……名前!?」

人がたくさん行き交う池袋のど真ん中で、怪物と恐れられる静雄に抱き着く一人の女。静雄の存在を知っている人間から見れば、それは驚くべき光景だったに違いない。
それでも僕は、この光景すら懐かしいと思いながら2人を見ていた。

「静雄、男前になったねえ!」
「いや、お前…は?」
「やだ、私のこと忘れたの?そんなわけ無いよね?」
「いや覚えてるけどよ。つうか、お前帰って来てたのかよ!」
「実はねー。この春からこっちにいましたー」
「お前それなら連絡――――

「あれえ?もしかして、名前?」

2人が再会を喜んでいると、耳に入る聞き慣れた声。その声に、名前の肩が微かに震えたのを、僕は見逃さなかった。



20120408





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