2年。
短かったような、長かったような2年。
ああ、すごく、緊張してる。
2年前の姿のままだった部屋から、今では必要のない服や鞄を運んでいた時に、ゾロに鉢合わせした。

「――…久しぶり、」
「……おう」

どんな顔をしたらいいか分からない。私は今、どんな顔をしているんだろう。
2年の時間は、どれだけの期間で埋まるんだろう。

「さっきの、スリラーバーグの……」
「ただの知り合いだ。勘違いすんな」
「な…!別に何も勘違いしてないわよ!」

自分ばかり緊張してるみたいで恥ずかしくなる。馬鹿みたい。
もういいや。気にしない。さっきまでの悩みをそういう結論に持って行った。
そういえば、とせかせかと動いていた足を止める。そして後ろをついてきていたゾロの方を向いた。

「ちょっと、どこまでついてくんの」
「俺も倉庫に用があんだよ」
「あっそ!」
「…何怒ってんだよ」
「怒ってない!ほっといて!」

怒ってんじゃねェか…と呟くゾロを睨んで、ふん!と踵を返してまた早足で倉庫へ向かう。
だめだ。苛々する。なんで私ばっかり…!

視界に見えた倉庫のドアを、苛々をぶつけるように乱暴に開けて中に入る。薄暗くて周りがよく分からない。電気、どこだっけ。2年前の記憶を頼りに手探る。
ギシギシと床が軋む。私の耳には、私の足音とは違う足音もした。ゾロが入ってきたんだろう。

「ねえ、電気のスイッチどこだっけ?」
「――……ハァ…」
「ちょっとゾロ、探してよ」
「……無防備なんだよ」
「…は?…っぎゃあああ!」

スイッチを探すために宙をさまよっていた右腕を掴まれた。有無を言わせない強さに驚いて、バサバサと左腕の洋服類が落ちた。抵抗する間もなく左腕も掴まれて、出入口付近の壁に押し付けられる。背中に伝わる壁のひやりとした感覚と、ゾロの右足が私の両足の間に入り込むその感触に、ゾクッとした。

「…色気のねェ声」
「うっさい!離して…!」

私の制止の声を物ともせず、ゾロは私の伸びた髪に口付けた。

「――…お前の匂いがする」
「当たり前でしょーが!」

私なんだから、
そう言うとゾロは、嬉しそうな声で、

「…2年振りだ、この匂い」
「……!」

そんな風に笑うなんて。
そうだ。2年振り。すべてが2年振りなんだ。ゾロの声も、身体も、こんなに至近距離でいることも。
私は、会いたくてたまらなかった。

「ゾロ…会いたかった、」
「――……、…あぁ、俺も」

思わず出た言葉に、ゾロは目を見開いたのち、優しげな瞳で笑った。





(やっと、きみに逢えた)



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