それが終わった頃には、私の酔いはすっかり醒めていた。酔った勢いなんてタチが悪すぎる。相手が彼なら尚更。

「―――すごく最低な気分。」
「……身体はすげェ悦んでたぜ。」

私は床に落ちて皺のついた白いシャツを羽織った。この真っ白なシャツを羽織る私の体は汚れたようだ。ああもう、吐きそう。

「……その記憶は是非消しておいてもらいたいわ。」
「ああ、是非残しておこう。」
「…」

本当に嫌な奴。
眉を寄せて振り返ると憎らしい金髪はベッドサイドに腰掛けて、煙草を吸い始めていた。
「私、あんたが嫌いよ。」
「俺は好きだけどな。」
「……嘘ね」
「嘘じゃねェよ。あ、そうだ。」
「…は?」

サンジは人差し指で自分の首筋をとんとんと突いて、にやりと私に笑った。

「付けといた。」
「っ!?」

ありえない馬鹿じゃないの!急いで鏡を見てみると首筋についた赤い痕。思わず手で覆った。

「あんたって本当に最低!!」
「照れんなよ。名前、お前は俺に惚れてるぜ」
「自惚れないでよ!」
「自惚れるさ。事実だからな。」
「馬鹿じゃないの、」

彼はシルバーの灰皿に煙草を押し付けて、壁にもたれて腕を組んでいる私の正面に立った。すう、とキスマークをなぞる指先は愛おしそうに私の頬を撫で、顎を掬う。

「そうね。思い出して、その度に吐いてやる。」
「そいつはおもしれェな。……素直になれよ、名前。」
「あんたなんか、絶対に嫌。」
「面倒くせェ女。嫌いじゃねェけどな。」

彼は不敵に笑うと、深く、私に口付けた。こんな男、絶対に嫌。どんなに頼まれてもおちてなんかやらない。そんな想いを抱きながら。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -