「…ん…、」

情事のあとの、けだるさが身体にまとわりつく。もぞ、と身体を捩らせて起き上がろうとしたけど、腰を抱かれていて叶わなかった。
はぁ。眉を寄せて自分の腰を抱きながら寝ている男を睨んだ。

「……」

もう、起こさないように気遣うのも面倒だった。べりっと引き剥がすように腕を退けてベッドから抜け出すと、傍の椅子にかけてあったブラウスを羽織った。

「ん…、名前、」
「なにー?まだ寝てても大丈夫だけど」

布団の中で彼、スモーカーはもぞもぞと少し動いたあと、上半身を起こした。頭をガシガシと乱暴に掻く彼を横目に、私は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、煽るように飲んだ。

(――…9時か)

チラリと時計に目をやって、ミネラルウォーターを冷蔵庫に戻した。
スモーカーはベッドから立ち上がり、カーテンを少し開けて外を眺めている。

「用事があんのか?」
「ん、13時から友達と約束が」

私が時計に目をやったことに気付いたのか知らないが、彼はそう尋ねたけれど、私の答えに対してとくに反応はなかった。
スモーカーはカーテンを閉じると、私が立っているキッチンへ足を向けた。

「もう寝ないの?今からご飯作るけど、どうする?」
「…いらねェ。――…名前、」
「え?…っちょ、」

後ろから抱きすくめられて、スモーカーの予想外な行動におどろいた。首筋に唇が寄せられて、舐められて、口付けられる。その唇が、今度は耳へ。これは、行為が始まる合図。

「っ、スモーカー!」
「なんだ」
「朝から盛らないでよ!」
「……足りねェ」

右手が、私の胸に触れる。びくっと肩が震えて、私はシンクを掴んだ。背中にスモーカーの熱が伝わって、スモーカーの息遣いが耳元に伝わって、ぞくぞくした。

「――、ッ…」
「――声、我慢すんな」
「ん、っ」
「名前」
「ふ、ぁっ…だめ、そこ、っ」

いつの間にか下半身へ移動した手が、内股をゆるりと撫でて、下着越しにそこへ触れた。

「っ、ぁ、やっ…ッ」
「……濡れてんじゃねェか」

嬉しそうな声がダイレクトに伝わる。この男に貪られてから、まだあまり時間の経っていない身体は従順で、理性を保っていたのは一瞬だけだった。

「は、ァ、スモーカー、ぁっ」
「…なんだ」
「…っ欲しい」

恥を承知で懇願すると、耳元でスモーカーが笑ったのが分かった。ソレが宛がわれると、くちゅ、いやらしい音。私は彼を、ナカに、誘った。




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