優柔不断な彼女



「決まったのか、アミリ?」
「駄目……。決・ま・ら・な・い!」
「いい加減にしろよなぁ。もう待ち草臥れたんだけど。」


休日のショッピングモール。
なかなか決められない恋人を後目に、俺は売り場を一回り。
そして、再びアミリの元へと戻ると、驚く事に、未だ決められずにウンウンと唸る彼女の姿があった。


「じゃあ、ミロが決めてよ。どっちが良い? どっちが好き?」
「俺はどっちでも良いって、さっきも言っただろ。アミリが決めてくれ、って。」
「だから、決まらないんじゃないのぉ!」


アミリが悩んでいるのは、大人びたオリーブ色のマフラーと、目の覚めるような鮮やかなブルーのマフラー、その二本のマフラーのどちらを買うか。
俺の誕生日のプレゼントに、彼女が贈りたいと言い出したのだ。
だけど、店に着いて、この二つのマフラーを目にすると、途端に迷宮にはまり込んで、この状態。


「ミロの豪華な金髪には、この大人っぽいオリーブグリーンが合ってると思うの。でも、人目を惹く格好良さには、この明るい青も似合うだろうし……。」
「で、どうするんだ、アミリ?」
「だから、決められないの! ミロが決めてよぉ。」
「それじゃ、意味ないって言ってるだろ。」


呆れの溜息が漏れた俺を見て、アミリが顔を顰める。
そして、そのままクルリと身体を回転させて、俺に背中まで見せてしまった。
優柔不断なアミリが少しでも自分で決められるようになればと、ワザと厳しい態度を取っていたけれど、どうやらそれも限界。
これ以上は、流石に怒らせてしまいそうだ。


「良し。じゃあ、こうしよう。あそこに、この青いマフラーの女性物がある。二人でお揃いにしよう。」
「それって……、ペアルックって事? 恥ずかしくない?」
「ペアルックって言う程、大袈裟なものじゃないだろ。マフラーが同じってだけなんだからさ。それに、ほら。一緒にいない時でも、離れた場所でも、同じものを身に着けていると、繋がってるって感じがするだろ。それって何だか心強いような気がしないか?」


言いながら、アミリの小さな頭をポンッと叩くように撫でた。
すると、どうだろう。
一瞬だけポカンと俺を見上げた彼女の瞳が、直ぐにキラキラと輝き出した。


「分かった。じゃあ、そうする。」
「あぁ、そうしよう。」
「何でお揃いのマフラーなんて買ったんだろうって、後で後悔しても知らないんだからね。」
「後悔なんてするかよ。逆に見せびらかしてやるし、カミュとかにさ。」
「カミュさんに迷惑だよ。」
「すっごい呆れられるか、華麗にスルーされるかの、どっちかだろうな。カミュの顔が目に浮かぶよ。」


クスクスと笑い合いながら会計を済ませ、二つのマフラーを綺麗にラッピングしてもらう。
受け取ったリボンの付いた包みを、一度、ギュッと胸に抱き締めると、アミリはそれをシッカリと俺の腕の中に押し付けて、そして、ニコリと笑った。
そんな彼女が愛しく、可愛くて可愛くて仕方ないと思った。



決められない、それが余計に愛しくて



「夕飯、何にする、アミリ? 無難にギリシャ料理が良いか?」
「えっと……、ギリシャも良いけど、イタリアンも良いし。あ、トルコ料理も食べたいような……。」
「どんだけ決められないんだよ、アミリ。」



‐end‐





ミロ誕だったので、久し振りにミロ単独のドリ夢を書きました。
が、何故、ミロの一人称にしてしまったんでしょうね(苦笑)
何だかミロが胡散臭くなってしまいましたが、久し振りという事で許してください(汗)
何はともあれ、ミロたん、お誕生日おめでとう御座いました!

2014.11.09



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