スイートな幸せを



指に触れる、その金茶色の髪の感触が大好きで、気付けば無意識に彼の髪に触っている自分がいる。
私の膝で彼が眠っている時。
おはようのキスで彼を起こす前。
何事かを訴える、熱い眼差しが絡んだ時。
深く濃厚な情熱に流されている間も。
その質感が指に手に気持ち良くて、ついつい。


今もそう。
激しい愛を交わした夜は、いつもぐっすり眠ってしまう彼の寝顔を間近で見つめながら、その髪に指を通している私。
サラサラと指の腹で撫でては、私は柔らかな感触を確かめるように愛しんだ。


「ん……、む。」


寝言?
普段は雄々しい獅子座の黄金聖闘士も、寝ている時は無防備なのね。
それとも、私だから?
これは貴方が私を心休まる相手として認めてくれている、その証なのかしら?


指の間で揺れる彼の金茶の癖毛は、朝ぼらけの薄い光の中、淡く光っている。
なんて綺麗なのだろう。
そして、こんなに心地良い感覚をくれる質感に、私は出会った事がない。
例え、同じ触り心地の髪の毛を持つ人がいても、こんなに心地良くは感じないだろう。
アイオリアだから。
大好きなアイオリアの髪の毛だから、こんなにも気持ち良いと感じるんだと思う。


「リア……。ね、アイオリア。」
「……う? んん?」
「起きて、アイオリア。」
「どう……、した? アリナー……。」


まだ半分も覚醒しきっていないアイオリアの寝惚け眼(マナコ)は、その視界になかなか私を捉えてはくれない。
そんな彼の様子が可愛くって、愛しくって。
指で触れていた髪ごと、アイオリアの頭を胸の中にギュッと抱き締めた。


「苦、しい……、ぞ。」
「ふふ。嬉しいくせに。」
「そ、そりゃあ、まぁ、男としては最高の感触だが……。」
「私もアイオリアの髪が、最高の感触なの。」


思わず、自分の胸に押し付けていたアイオリアの髪をクシャクシャに撫で回した。
うなじから頭頂部に向けて。
耳の後ろから反対側の方へ。
円を描くようにグチャグチャに、と様々に。
流石にこうまでされては、半分夢の世界にいた彼の意識もハッキリと目覚めたようで。
グッと腰を抱き寄せられたと思った次の瞬間には、掬い上げられるようにベッドの上に押し倒されていた。


「あ……。アイオ、リア?」
「これが望みだったのだろう、アリナー? 今から、もっと心地良い感触を味わわせてやる。」
「あ、や……。んっ。」


再び雄々しい彼に戻った姿は、どこか野生の獰猛さを感じさせる。
期待に震える肌を撫でる無骨な手も、無遠慮に身体中を探る唇も。
先程の可愛らしかったアイオリアと同じ人なのに、同じではなくて。
与えられる刺激は、この世のものとは思えない程の眩い高みに私をゆっくりと誘導していき、例えようのない極上の喜びが身体の奥底から湧き上がる。
アイオリアの手が、肌が、唇が、身体が、全身全霊を籠めて私を愛してくれるから。
二人で駆け上がる瞬間は、最高の至福なんだと思った。



全ては貴方が与えてくれる喜びだから



「俺の髪を触るより、最高の感触があっただろう、アリナー?」
「そ、それは、まあ……。」
「勿論、俺にとっても最高だ。アリナーの、この身体は……。」


耳元に囁かれる声が心地良い。
だから、こんなにも幸せなの。



‐end‐





結局は「ガオー!」なニャー君です(笑)
可愛らしいリアが書きたいなと思って書き始めたら、いつの間にか、いつものERO暴走とかいう(滝汗)
ニャー君の得意技は『押し倒し』からの『寝技』で決定です^^

2008.12.15



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