光と闇と



久々の休日。
何となく空が見たくなって、自宮から外へ出た。
一歩、外へ出た瞬間、強烈な日差しに目が眩む。
俺に太陽は似合わない。
俺の心地良い場所は、夜の闇の中だと、ずっと思い込んでいたから。


だが、この一方的に暴力的な日差しはどうだろう?
慈悲も何もあったモンじゃねぇ、この厳しさ。
その強い力を誇示するような強い日差しは、相手の事なんか考えちゃいねぇ。
ある意味、『力こそ正義』だと思っていた俺に、良く似ている。
以前の俺、命を落とす前の、自分勝手極まりなかった俺に。


暑ぃ……。
何てキツい日差しだ。
やっぱ、外なんか出ンじゃなかった。


どっちにしろ、俺には夜の方が似合う。
夜の空気は良い。
夜の色も、雰囲気も、冷たさも、暗さも。
全てが落ち着く。


それでも――。


「デスッ! デスーー!!」
「うっせーよ、オマエ。ンな大声出さんくたって、十分聞こえてる。」
「良いの、呼びたいの。私がデスの名前を。」


階段を駆け上がってきたアイツの、太陽の光に輝く姿を見たら、外に出たのも間違いじゃなかったと思える。
真っ白な服を着た、小柄で無邪気なアリア。
光の中では天使のように笑いやがる。
夜の闇の中では、艶かしい視線で俺を見るのに。


「デス、綺麗……。」
「は? 何がだよ、アリア?」


綺麗?
俺が?
この俺様が?
俺の何処をどう見たら、『綺麗』なんて単語が出てくるンだか……。


「デスの髪、太陽の光に透けてキラキラしてる。触りたい!」
「ヤメロ、オマエ! 触ンな! 髪が乱れる!」
「乱れたら、あたしが直してあげるよ! だから、ねっ?」


陽の光の下では、いつもコイツのペースに乗せられる。
だが、くすぐったいようなその感覚が、何故だか妙に気持ちが良い。
俺の髪をクシャクシャにする手を、引き離したくて、引き離したくなくて。


ならば、夜の帳が落ちた後。
俺のペースで翻弄してやろうじゃねぇか。
乱れた髪のお返しに、この身体中に赤い花びらを散らして。



光と闇の調和に、身を委ねるのも悪くない



そうか、俺は愛してンだな……。



‐end‐





何だかネタに詰まって、思い付きで書き殴ってみました。
蟹さま、こんなんじゃないよね(滝汗)
神様、アテナ様!
もっと素敵蟹を書ける文才を私に!

2008.03.29



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