翌朝の事。


「身体、痛い……。」


窓の外に広がる良く晴れた青い空を見上げながら、私は痛む身体を擦っていた。
結局のところ、昨日はプールで泳ぎを楽しんでいる途中で、何やら妖しい雰囲気に持っていかれて、そのままそこで……。
なんていう、恥ずかしくて顔から火が出そうな行為をしてしまった挙句。
それでは治まりが付かなくなって、お部屋に戻ってからも何度も何度も……。
辛うじてディナーには出て行ったものの、その後は部屋に籠もったままとなってしまった。


聖域での朝と違い、仕事のない今朝はノンビリと寝ている事が出来たのだから、まだマシだとは思うのだけど。
それにしても、シュラ様は手加減というものを知らないのかしら。
彼は聖闘士だろうと、私は極々普通の一般人。
シュラ様の体力にはついていけないのです。


「何を、そんな悲鳴みたいな声を上げている?」
「悲鳴の原因なら、ご自分の胸に手を当てて考えてみてください。心当たりなら、たっぷりありますでしょう?」
「お前の体力が無さ過ぎるんだ、アンヌ。」
「シュラ様の体力が、人知を越え過ぎているんです。」


そんな他愛もない会話を交わしつつ、服を着替える私達。
折角のバカンスだもの。
身体が痛いからといって、寝込んでなどいられない。
シュラ様と二人きりで休暇を楽しむチャンスが、この先にもあるとは限らないもの。


「そんなに痛むのなら、カヌーは諦めるか?」


多少の罪悪感を覚えてか、それとも、痛がる私に気を遣ってか。
シュラ様が午前中の予定を変更しようかと、提案してくれる。
でも、私は首を横に振った。
こんなに綺麗な湖が目の前にあるのに、それを楽しまないなんて勿体ないもの。
それに、シュラ様がカヌーを漕ぐ姿、きっと格好良いと思うし。
だから、見てみたいと言うか、色んなシュラ様を目に焼き付けておきたい。
この夏の思い出に。


「途中で根を上げても知らんぞ、アンヌ。」
「大丈夫です。日光には弱いですけど、多少の運動くらいは平気ですから。多分……。」
「語尾が濁っているが?」
「もう! いちいち追求しないでください!」


私はシュラ様の腕を取り、ギュッとしがみ付いた。
この逞しい腕に守られているから、きっと大丈夫。
例え、私が倒れそうになっても、この人が全力で助けてくれる。


顔を上げると、片眉を上げて私を見下ろすシュラ様と目が合う。
身体の節々はまだ痛かったけど、私はニッコリと笑ってみせた。
それを受けて、彼もフッと軽い笑みを零す。
私の大好きな、あの笑みを。


「さあ、行きましょう。」
「カヌーは止めて、ボートににするか? 俺が漕げば、問題ないだろう? 辛くなったら、いつでも言うんだぞ、アンヌ。」
「はい、シュラ様。」


私はしがみ付いていた腕から離れ、その手に、自分の手を合わせた。
ギュッと繋ぎ合わされた手は、優しい温もりを互いに伝え合う。
目と目が合えば、自然にニッコリと微笑み合って。
私達は、この湖畔の別荘で、残りの休暇の日々を二人きりで楽しんだ。



‐end‐





バカンス編、終わりました!
連載終了後の話なので、ガッツリとEROを盛り込んでみましたよw
いつでもどこでもERO全開、それがこの連載のボケ山羊さんなのですwww
ちなみに舞台は北海道ですよ^^

2011.08.07〜2011.09.20



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