闇のリズム的にゃんぱになホノボノ生活



「よいしょ、と……。」


日差しは燦々、日溜りはポカポカ。
それでも一歩、外へと出ると、空気も風もヒンヤリと冷たい秋の午後。
私は取り込んだ洗濯物が山盛りになったランドリーバスケットをリビングの床に下ろすと、ポンポンと腰を叩いた。


やんちゃな猫ちゃん達との生活は体力勝負だ。
あ、猫ちゃんというのは、黒猫ちゃんの姿になってしまったシュラ様と、モフモフな金茶猫ちゃん姿のアイオリア様の事。
相も変わらず例の後遺症、月一のアレで、またまた昨日から猫化してしまったため、私アンヌが、ココ磨羯宮で、二匹纏めて面倒を見ているのです。


「はいはい、アイオリア様。外に出ちゃ駄目ですよ。」
「ミミー。」


隙あらば外へ脱出しようとする猫ちゃんを押し退け、慌てて中庭へと続く窓を閉める。
ピシャリと閉じられた窓を少しだけ名残惜しそうに眺め、アイオリア様はキュッキュと肉球をガラスに押し付けたが、何をどうしたところで開く気配はない。
それを察して諦めたのか、直ぐに踵を返した猫ちゃんは、部屋の中を元気いっぱい走り回り始めた。
可愛い、ピョコピョコと可愛い。
どうしてこうも行動の何もかもが破壊的に可愛いのでしょうか、この猫ちゃんは。


私は洗濯物を畳みながら、落ち着きなくウロウロと部屋を回る猫ちゃんを眺めていた。
そういえば、今日はもう一匹のギャング猫ちゃんは随分と大人しいわね。
振り返り見れば、黒猫姿のシュラ様はソファーの上に丸まって座り、泰然自若としていた。
悠々ノンビリと定位置に陣取り、何か考え事でもしているのか、顔を高く上げて目を細めている。
何だか不気味ですね、静かな黒猫ちゃんなんて……。


「ミミッ、ミッ。」
「あれ……、アイオリア様?」
「ミッ。」
「…………。」


いつの間に移動してきていたのか。
アイオリア様が、ドッカリとシュラ様が居座るソファーの下へと座っていた。
ソファーの座面から垂れ下がる、右へ左へとゆっくり揺れ動くシュラ様のシュッと細い尻尾が、兎に角、気になるようで。
下から前足を伸ばし、それを捕まえようと必死でじゃれ付いている。
アイオリア様ったら、もしやシュラ様の尻尾を猫じゃらしと間違ってます?


「ミッ、ミミッ!」
「…………。」
「ミミッ、ミッ!」
「…………。」


不規則にゆ〜らゆ〜らと揺れる黒い尻尾、躍起になって前足を振り回すモフ猫ちゃん。
シュラ様は全く気にならないのか、遠くを見たまま目を細めている。
もしかして、アイオリア様が尻尾にじゃれ付いているのに気付いていない、とか?
あ、今、チラと下を見た。
という事は、気付いてない訳じゃないのね。


「……フンッ。」
「ミッ?! ミミッ!」


突然、垂れていた尻尾をピンと上向きに立てたシュラ様。
遊び道具が遥か上へと離れてしまい、追い駆けるようにピョンピョンと跳ね飛ぶアイオリア様。
じゃれ付かれるのが嫌になったのかと思いきや、どうやらそうでもないようで、黒猫ちゃんは再び尻尾をダラリと下ろし、先程と同じようにユラユラと揺らし始める。
これは……、まさかアイオリア様を翻弄して楽しんでいる?


「ミミーッ!」
「……ミャッ?!」


パシィッ!
ズシャッ!
バタバタ、ガタガタ、ゴトゴト!


……あ、落ちた。


正確には、真剣白刃取りの要領で、ユラユラ揺れる尻尾を前足二本で上手く挟み込んだアイオリア様が、尻尾と共にシュラ様本体もソファー下へと引き摺り下ろしたのだ。
怒り狂って襲い掛かる黒猫ちゃんと、ひるまず受けて立つ金茶猫ちゃん。
そして、始まる、いつものドタバタ猫競り合い。
磨羯宮は今日も変わらず平和です。



と暮らす日々
猫ちゃんでほんわか!



(バスタオル、バスタオル、と……。)
(ミャッ?!)
(ミミッ?!)
(これを猫ちゃん達の上から掛けておけば、その内、バスタオル遊びに変わるでしょ。)
(ミャー!)



‐end‐





ニャンコの尻尾にじゃれ付く子ニャンコ動画が可愛かったので、ついついうっかりw
無愛想な黒猫山羊さまと、やんちゃな猫獅子くんの対比が、また良いと思いますw

2018.10.30



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