立派過ぎて眩しかった筋肉のオンパレードから一転、今のシュラ様はきっちり服を身に着けて食事を続けている。
この聖域に十二人しかいない黄金聖闘士、確かにその肉体は想像を超えた素晴らしさだけれども、こうしてキッチリし過ぎない、ややラフな服装をしている彼も惚れ惚れする程に素敵だ。
やはり元が普通の人間とは次元が違うのだろう。
何を着ても、どんな姿でもスマートでいて格好良い。
勿論、一番素敵なのは黄金聖衣を纏った時の凛々しいシュラ様なのだけど。


「今日は、午前も午後も執務当番でしたよね。お昼は、お戻りになるのですか?」
「当然だ。」


昼食は今日も変わらず磨羯宮に戻ってきて食べる、と。
当然だと言い切る、その相変わらずさに、思わず肩を竦めてしまう私。


「何だ?」
「いえ、何でもないです。」
「何でもないって事はないな。今、肩を竦めたろ?」


こういうところは、非常に目聡い。
先程の鈍さが嘘のよう。
自分の事には疎いのに、良く人を見ていると言うか、何と言うか……。


「たまには余所でランチでもされたら、どうかと思いまして。」
「外へ行くより、アンヌの作る飯の方が美味い。」
「そういう意味ではなく、例の彼女をランチにでもお誘いすれば良いのでは? と、言っているのです。」


私が以前から何度も言っているのに、シュラ様はさっぱり行動を起こさない。
意中の『彼女』をディナーどころか、ランチにすら誘った事も、私の記憶ではない。
昼食も夕食も、任務でいない時以外は、きっちりとこの宮へ帰ってきて、満足そうに用意した食事を平らげていく。


それだけじゃない。
休日も相変わらずゴロゴロ・グダグダして部屋の中に転がっている。
もしくは、私の休日をシュラ様の休日と同じ日になるよう調整(と言うか、シュラ様の独断で勝手に決められる)して、一緒にアテネ市街へと出掛ける場合が殆どだ。
それは「お給料の上積み分はシュラ様のために使う。」と私が宣言したせいもあって、ショッピングには必ずシュラ様が同行するという、勝手なる決まりが出来てしまっているらしい、彼の中で。


私と出掛ける時間があるなら、『彼女』をデートに誘えば良いのにと言っても、全く聞く耳を持たないシュラ様。
これで、本当に『彼女』に告白する気があるのでしょうか、この人は?
六年も思い続けた『彼女』に対して、こんな調子で良いの?


「またそれか。ランチなど誘う必要はない。俺はココでアンヌの作った飯を食べる。それが良いんだ。」
「やる気あるのですか、シュラ様? そんな調子では、彼女、いつまで経っても振り向きませんよ。」
「そんな事はないさ。」


何処から湧いてくるのか分からない、自信満々な答え。
それを見て、私は再び肩を竦めた。





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