そこは、海の底のようだった。
辺りは暗い。黒よりは藍や紺に近い、青い世界。
上の方は段々と明るくなっていき、白や水色がキレイな色を作り出している。
上へ行けばここから、この世界から出られるのか。そんなこと、考えたこともなかった。
下も暗い。段々と広がっている闇。どうやらここは底ではないようだ。
底でもないのに立てる。まるでここに床があるかのように。
そして不思議と息ができた。
「………どこなんだろう」
まるで記憶がない。なぜ自分はここにいるのか。
となりを見ると、1人の少年が立っていた。
歳は変わらないくらいだろうか、少年もまっすぐ前を見ている。
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