いつの間にか、燐のとなりを歩いていた。
この世界で初めて会った人。やはり安心するのかもしれない。
いつまでたっても、柱に近づく気配はない。
「やっぱり、遠いね。思ってたより」
ボソッと茉樹はつぶやく。
「斗織っ、何あれ」
丹那の声で茉樹と燐は振り向く。
丹那は遠くを指していた。
そこには、小さな家があった。
「………家だ」
「家じゃん」
遠くから見ても分かる、三角屋根の小さな家。
「よく見えたね」
「目はいいからねー」
丹那がこちらをちらっと見る。
「行ってみる?」
「いーよいーよ。んなことしてるひまないだろ」
[ 19/122 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]