いつの間にか、燐のとなりを歩いていた。



この世界で初めて会った人。やはり安心するのかもしれない。



いつまでたっても、柱に近づく気配はない。



「やっぱり、遠いね。思ってたより」



ボソッと茉樹はつぶやく。



「斗織っ、何あれ」



丹那の声で茉樹と燐は振り向く。



丹那は遠くを指していた。



そこには、小さな家があった。



「………家だ」



「家じゃん」



遠くから見ても分かる、三角屋根の小さな家。



「よく見えたね」



「目はいいからねー」



丹那がこちらをちらっと見る。



「行ってみる?」



「いーよいーよ。んなことしてるひまないだろ」




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