「初めまして」
前の方でキレイな声がした。
興味が無いわけじゃないけど、その声に惹かれて私は前を見た。
「………!?」
支えにしていた左手からあごが落ちる。
「北原 紘です」
キタハラ ヒロ………あの子はそういう名前なんだ。
『結構カッコいいなぁ』
クラス中の女子の視線はみんなあの子にいっている。
「親の都合で転校してきました」
何だろう………
あの子の何かに惹かれる………
数日前―――
雨が上がった帰り道で、丘の方にキレイな虹がかかった。
雫で葉がキラキラしてる中、その子もキラキラしていた。
『………誰?』
ドキッとした。
頭の中に聞こえてくる声が私に問いかけられているみたいだったから。
青空の下、キレイな男の子と目が合ってる私は一瞬何も考えられなくなってしまった。
「………誰?」
今度は直接言われた。
「え?あ、香恋………」
思わず名前を答えてしまった私に対して、男の子はニコッと微笑みかけた。
「よろしく。カレン」
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