「レイ、今年はスイカを作ったんだ」
「やった!」

朝ごはんを食べてから、おじさんの畑で野菜を収穫している。
そういえば、スイカが野菜だと教えてくれたのは確かおじさんだった。

「美味しそうなやつよろしくね、おじさん」
「任せろ」

こんこんとスイカを叩いていき、ひとつのスイカを鎌で切り離す。

「よし、これはおじさんが冷やしておくから、トマトとかとってくるといい」
「はーい」

トマト…サスケがいそうだなあ。
その考えは外れることなく、サスケはトマトをせっせととっていた。

「サスケェ、いっぱいとれた?」
「うん!美味しそうなの選んだんだぜ」
「ほんと?ありがとうサスケ。ん?」

サスケの口になんかついてる。

「サスケ、口になんか…あー!」
「た、食べてないよ」
「…食べたのね、トマト。しかも自分から言っちゃったし」
「で、でも一個だけだよ」
「まあ、おじさんが作ったトマト美味しいしね」
「レイちゃんも一個食べる?あっちにお水で冷やしたのあるよ」
「んー、今はいいかな」

とりあえずいまサスケがとっている分のトマトを、畑の端にある井戸のようなところに持って行った。
たらいに水が張ってあるので、そこに入れる。

「あれ、イタチは?」
「兄さんはあっちでキャベツとってるよ」
「だと思った」

サスケと仲良く手をつないで、イタチがいるであろうキャベツ畑へ向かう。

近くまできたとき、私たちに気づいたイタチがちょいちょいと手招きをした。

「どうしたの、イタチ」
「これを見てくれ」

私たちがイタチの座っている場所をまじまじと見ると、キャベツの上にプチトマトとインゲンで彩られた顔があった。
ちなみに、インゲンが眉と口、プチトマトが目。口は短いインゲンが使われていて、笑っている表情だ。
って、イタチなにしてんだ!…でもかわいい。今流行りのゆるキャラとかいうやつっぽい。

「へー、かわいいじゃん」
「ふっ、そうだろう」
「あ、兄さん!」
「なんだサスケ」

サスケがインゲンを二本持って、何かしている。

「こうすると兄さんだね!」

プチトマトの下に斜めに置かれた二本のインゲン。ちょうどイタチの頬にあるシワのようだ。

「あはは、サスケそれ似てるね!」
「そ、そうか?」

イタチは困った顔をしていたが、野菜で作ったにしてはイタチとよく似ている。
私たちの笑い声を聞きつけたおじさんがやってきて一言。

「イタチにそっくりだな」
「でしょ?」
「…俺は最初レイのつもりで作っていたんだが」
「え、マジで?」

いや、似てないでしょ。
そう思ってサスケとおじさんに同意を求めたが、

「そういわれれば…」
「目とかレイちゃんに似てるね、兄さん」
「そうだろう」
「え、マジで?」

私はこんな単純な顔だったのか…。複雑な気持ちになったけど、とりあえず野菜でできた顔をもう一度まじまじと見た。

「いや、似てないでしょ」
「「「似てる似てる」」」
「そんな声揃えなくっても…」
「しかしこれはすばらしいな…どれ、写真にでもおさめるか」
「そこまでしなくってもいいと思うよおじさん」



ちなみにインゲンを斜めじゃなくて横に置いたら、もしかしたらおじさんにそっくりになるかもしれない。そう思ったのは秘密だ。