「えー、今日の晩御飯はカレーなので、みんなで協力して作るぞ」

マダラのおじさんの一言に、三人仲よくはーい、と返事をする。

「えっと、じゃあわたしとサスケが野菜切るから、イタチお米洗うのよろしく」
「…俺は一人ぼっちなのか」

そんなイタチの言い分を無視し、包丁を手にする。

「サスケ、包丁使った事ある?」
「…ない」
「そっかー…、うーん、にんじんの皮むきとかしてもらおっかな」
「うん!」

なんて健気でかわいらしいんだサスケ。 どうか君のお兄さんのようにならないようにと祈ろう。
その後サスケは問題なくにんじん、じゃがいも、たまねぎ…の皮を剥いていく。 それはもう順調に。
一方の私は、というと、

「…すん、」

たまねぎ切って泣いてます。
くっそう、野菜切るのはイタチにでも押しつければよかった!

「あっ、レンちゃんどうしたの? どっか切ったの!?」
「ち、ちがっ」

おそらくおじさんとイタチに心配される。 しかし、否定しようとしても、うまくしゃべれない。

「どうした、レン」
「あ、おじさん。…たまねぎ切ってたら、目にしみて」
「そうかそうか。こするなよ」
「うん」

そういって静かに涙をぬぐってくれたおじさんはものすごくカッコ良かった。イタチの叫び声をバックに。


いろいろあって完成したカレー。 いただきますはおじさんの号令でいうのがきまりだ。


「じゃ、手を合わせて、」
「「「「いただきまーす」」」」

それから、おじさんとイタチはゆっくり、サスケはがつがつと、私もお腹がすいていたのでがぷり、とそれぞれにカレーを食べ始める。
落ちついて食え、とおじさんの声がした。


「そういえば、お盆休みの初めの日って、毎年カレーだよね」
「そういうば…、そうだな」
「これ食べるとおじさんちキター!ってなるよね」
「そうなのか?」
「そうだよ。ねーっ、サスケ!」
「うん!」
「なんでイタチが元気にうん、って言ってんの。 サスケくんが困ってるじゃん」
「そんなにサスケは困ってなさそうだぞ、レン」
「おかわり!」
「ほらな。おーおー、食べるの早いなサスケ」
「いっぱい入れてねおじさん! 俺いっぱい食べて早く大きくなるんだ!」
「へえ、そりゃたくさん食わないとな」
「そんでレンちゃんよりおっきくなって、お嫁さんにするんだぜ!」
「(なにそれかわいい!)」
「ぶっ、な、なんだとサスケ!」
「イタチィイイ!なにカレー飛ばしてんのおお!」
「およめさん、だと…!?」

イタチはスプーンをこれでもかというほど握りしめ、カレーに向き直る。

「俺もいっぱい食って大きくなるぞ!」
「じゃあ、俺もー!」

うちは兄弟、はりきって食べる。 イタチはそれ以上大きくなってどうするつもりなんだ。
そして、みるみるとカレーがなくなっていく。 見てるだけで、もうお腹がいっぱいになりそう。

「…へんなの」
「レン、」
「ん?」
「おじさんと、昼間食べそこねたスイカでも食べるか」
「うん」

おじさんと種をどこまで飛ばせるか競争して、引き分けになりました。