痛いなあ。 

なまえが好きで好きでたまらなかった。
初めて見たときから、ずっと気になってたんだ。
円堂くんの隣でにこにこ微笑んでいるなまえはそれはもう、俺には天使に見えたよ。
それから色々あって、やっとなまえと仲間として会話ができることになった。
なまえは、優しい子だから俺が宇宙人だった時も、ちゃんとお喋りしてくれたけどさ。
そんなある日のこと、なまえが俺に話しかけてくれた。
ひ、ヒロトくんっ!
ん、なあに?
好きです、ヒロトくんのこと。ずっと、前から。
なまえの赤く染まったほっぺたを、俺の白い手で撫でてあげるとなまえは不安そうにうつむいていた顔をゆっくりあげた。
首を傾げるなまえの頭を抱きよせて、ほっぺにそっとキスをおとす。
俺もずっと前から好きだったよ。
本当?嬉しいっ。
「どうしたの、なまえ?どうして泣いているんだい?あぁ、ごめん。そんなに痛かったかな?」
「うぅ…。ひ、ひろとくん」
「泣かないでよ。折角の可愛い顔が台無しじゃないか」
それでも溢れてくるなまえの涙を舌で拭いとると、なまえの体がびくりと跳ねた。
「う、怖いよ…、誰か…誰か助けて…っ」
「ははは、なまえは本当に可愛いなあ、大好きだよ」
「う、うええ…あ、私も、好きっヒロトくん!痛いっっっ!!!ひっ、ぐぅ…」
ずぷり。
なまえのお腹の肉を、俺が握るナイフが引き裂いた。
「ふふ、やったねなまえ。これで俺達ずっと一緒さ。嬉しいでしょ、なまえ」
なまえは何も返事をしない。
少し寂しかったけど、気にせずになまえの唇に自分の唇を重ねた。
何もしてないはずなのに、口元が緩んでニィと弧を描く。
それが恥ずかしくて、右手で口元を覆った。
「あはは、やっちゃった。もう、俺凄く嬉しいな…」
凄く嬉しい。
はずなのに、
「ねぇ、なまえ。俺凄く嬉しいはずなのにさ」
それから、開いている左手を胸にあてた。
「ここんとこが、ぎゅううって痛いんだ」
ねえ、なんか言ってよ、なまえ。
「ねぇ、なまえ。痛いなあ。どうしてかなあ?なまえってば」