私は甘い物が嫌いだ。
いや、別に食べられないとまではいかないが。
苦手、というべきだろうか。
ケーキもそんなに好きではないし、お菓子も好んで食べたりしない。
そのことを話せば、女の子なのに珍しいなんて言われる。
女の子だからってみんなお菓子や甘い物が好きな訳じゃない。
現に私は苦手だし、あまり食べない。
そんなある日の昼休み、一人の女の子が私のところまできて飴玉とクッキーを手渡した。
私は、悪いし要らないと、受け取らないという意志を示したはずなのに、彼女はいいっていいってとお菓子を置いていった。
どちらかというと、よく喋るほうの女の子だった。
その子は、その後すぐに他の友達とどこかへ行ってしまって、教室には私だけ。
と思ったら、もう一人。
名前は確か基山ヒロト君。
私の斜め後ろの席の男の子で、モテるみたいで、女の子達が騒いでいるのをよく見かける。
彼はずっと読書をしていたみたいだけれど、人が居ない教室を見渡すと退屈そうに立ち上がった。
彼もどこかに遊びに行くんだろう。
大して気にもせずに、私は先程貰ったお菓子を眺めた。
「ねえ、」
驚いた。
さっき立ち上がった彼は、誰も座っていない私の隣の席に腰掛けている。
「なんですか?」
「みょうじさん、甘い物苦手なんでしょ?」
そう言うと、彼は柔らかく笑って言った。
「俺、お腹へっちゃったんだ。それ、くれない?」
私は一向に構わないのだけれど、せっかく貰った物を他人にあげるのは、失礼じゃないかな。
「あ、ごめんね。なんか」
「ううん、いいよ。はい」
私がクッキーと飴を差し出すと彼は嬉しそうに受け取った。
「あのさ、みょうじさん」
「なんです?」
「俺さ、君のことずっと好きだったんだけど」
うっかり、顔をあげて基山君と目が合った。
「甘い恋とか、興味ないかな?」
彼の顔が近づいてきて、私にそっと口付けた。
それは、今までに味わったことの無い位の私の大嫌いな味だった。
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何故基山は夢主ちゃんが甘いの嫌いなのかを知っていたのかということと、
何故昼食後の昼休みにお腹が減るのかは、永遠の謎ということで、勘弁してください。
下書きも何もなしクオリティーwww
受験ツラすぎてムシャクシャしてやった。
1207:誤字訂正