「ね、精市、」
ベッドの上に横になってスポーツ雑誌に視線を向けながら何?と俺の目線より下にいる彼女に素っ気なく返事する。今日は久しぶりの休日で、大学も違うからこうして朝から一緒にゆっくりするのは一ヶ月に何回かの楽しみだと言っても過言じゃない。まあ講義が終わった後とかに会いにいったり家呼んだり泊まったりするけどね。なんにしろ今俺は実際に楽しんでる。こいつの反応を見て、だけど。
こいつが家に来て四十五分くらい。さっきから意味もなくぺらぺら雑誌を読んでるんだけどさ、そろそろ俺の可愛い彼女が泣きべそかいてきたころだろう。
普段たいして大人しくない、どちらかというと頭は良くない方だし、俺からみたら可愛いけど、一般的にいうとがさつだし。だけど俺と一緒にいると妙に静かってゆうか、とにかく、可愛いんだよねこいつは。今も俺に構ってもらえなくて寂しいけどそれを表に出すまいとクッション握って耐えてるとことか、もうほんとそんなことするから苛めてやりたくなるんだよ。
「あ、のさ」
「うん」
「あの、や、何読んでるのかなって、」
「……スポーツ雑誌。見たらわかるだろ」
「あ、そう、だね。ごめん」
ちょっと苛めすぎちゃった?声からしてだけど、限界が近付いてきたようだ。じゃあ、そろそろ可愛がってあげようかな。
「ほら、おいで」
そう言うと一瞬躊躇ってみせた彼女だけど、身体を起こしてベッドに腰掛けなおした俺の横を軽く叩くとゆっくりとした動作ながらさっき俺が叩いた場所に腰掛けた。
「何、そんな可愛い顔して。寂しかったの?」
「だ、っ…精市が、!」
「ん、ごめんって。」
「……ばか。」
「だからって俺のこと馬鹿にしたらどうなるか解ってるよね?」
なに、後退さらないでよ。余計に苛めたくなるじゃないか。あああほら、俺から逃げれるとでも思ってんの?馬鹿だなあ、本当に。そんなとこも大好きだけど。
とりあえず、ちょっと押し倒してあげようか。