※下ネタ有り 苦手な人は曲がれ右で。
あと、闇人格と表人格が別々の人物になっております。
闇遊戯→【遊戯】 闇バクラ→バクラ と表現されてます。
むしろ酔うので彼らの人格崩壊します。
それでも許せる心の広い方のみどうぞ↓
繁華街の小さな居酒屋。
海馬はそんな所に自分が来ることになろうとは、今まで夢にもおもわなかった。
デュエルをしよう、と真面目な声で【遊戯】から連絡をもらい、指定された場所に来たのだか何かの間違えのような気がしてきた。
それでも確認しようと居酒屋に入り女性店員に聞くと、二階の個室に通された。
酔っ払いに絡まれるのを無視しつつ、二階の個室のふすまを開く。
開いたと同時に、帰ろうと思いすぐふすまを閉めた。
しかし、一瞬遅かった。
「逃がさねぇよ!社長っ」
ふすまを閉めきる直前に伸びてきた手に止められる。
「放せバクラ!オレは暇ではない!!」
「知らねーよ!こっちはこっちでやべぇんだ!」
「知るか!くっ・・・」
本気のバクラの力にはかなわず無理矢理ひっぱられ、酔っ払いだらけの室内に入らされる。
冷や汗をかいた【遊戯】に、すっかり出来上がり楽しげに笑う遊戯と獏良と・・・城之内。
遊戯と獏良は海馬に気付いたようだが、城之内は気付く様子もなく幸せそうにビールを飲んでいる。
「よ・・・よう海馬。まあ飲めよ。」
【遊戯】はジョッキの生ビールを海馬に渡しながら、有無も言わせず座らせる。
ワインばかり飲んでいる海馬は、ビールが苦手だったがライバルに弱味をみせたくなかったので一気に飲み干す。
苦く安っぽい味が口の中にひろがる。
「・・・・・・で、この状況はなんなのだ。バクラ、【遊戯】。」
空のジョッキやグラスが沢山置いてあることから、相当飲んだのは一目瞭然だった。
「最初はただ久しぶりにみんなで飲もう、となったんだぜ。」
「で、宿主サマと遊戯をかなり酔わせたら・・・すんごく可愛くなるんじゃないかと、コッチの【遊戯】と考えて実行したワケよ。」
つまり【遊戯】とバクラは恋人を泥酔させようとして、今に至るらしい。
しかし焦るバクラと冷や汗をかく【遊戯】を見ると、上手くいかなかったようだ。
「・・・・・それで何故オレを呼ぶ?むしろ凡骨のほうが泥酔に見えるのだが。」
なにやら横目でチラリと城之内をみると、ニコニコと遊戯と獏良と何か話しているが、目はトロンとしていて顔も真っ赤である。
「城之内くんは相棒が呼んだんだ。城之内くん、そんなにお酒は弱くないが・・・ビール、ジョッキで五杯に焼酎三杯、ウィスキーにお燗にサワー二杯づつじゃさすがにああなるぜ。」
「だから社長、城之内の回収ヨロシク。」
海馬は頭が痛くなった。泥酔人間を運ばなくてはならないのか。
問題の酔っぱらいを見ると何やらとても楽しげに三人は話している。
「んで〜海馬くんは城之内くんと二人っきりだとどうなの〜?」
・・・・・・・・・・!?
遊戯がとんでもないコトを言っているのに海馬は気付く。
すっかり酔っている城之内は可愛らしく、ふふっとはにかむように笑う。
「あいかわらずらケド〜たまぁに優しいんだぁ・・・アイツ。」
素直に答える城之内は珍しい。その上、酔っているためか少々舌足らずな口調である。
遊戯に続けて獏良も城之内に問う。
「へー。じゃあ二人っきりだと名前で呼んだりするの?」
「オレは〜はずかしくて言えないんらけろ、海馬は耳のトコで『克也』って呼ぶお〜。で、ちゅーしてくれんらぁ。へへ〜。」
幸せそうに肩を両手で抱きながら城之内は笑うが、海馬は羞恥のあまり顔を上げることが出来なかった。
今まで聞いてなかった間は一体なんの話をしてたのか恐ろしくて想像したくもない。
しかし遊戯と獏良の質問は止まらない。
「海馬くんってキス上手なの?」
「んー。オレすぐ気持ちくなるんら。れも海馬のがちゅー好きらとおもう〜。いっぱい色んなところしてくっからぁ。」
余計なコトまで城之内は発言する。
遊戯の質問以上の答えをしなくても良いものを・・・!
「ふーん。じゃあ・・・」
「オイ待て獏良っ」
これ以上は耐えられないと海馬が声を上げると、獏良と遊戯がさっきほどまでの笑顔が消え、ジロッと海馬を睨みつけてくる。
「何?ちゅー大好きな海馬くん。今いいトコなんだけど。」
すぐ二人とも笑顔に戻ったが、目が笑ってない。
気のせいか獏良の言葉にもトゲがある。
「・・・いや、そのだな・・・」
思わず口ごもる海馬に、遊戯が追い打ちをかける。
「・・・口うるさい男は嫌われるんだよ? 情事にもしゃべりまくる海馬くん。」
どこまで知っているのだ!?
むしろ性格変わってるだろう貴様ら!!
と叫びたかったが、さらに倍の羞恥情報で返されそうなので耐える。
その分、一歩下がった所で見守っている【遊戯】とバクラに八つ当たりしに行く。
「アレはなんなのだ!?貴様ら!!」
「・・・・いやー・・・酔わせたらなぁ」
バクラは【遊戯】と顔を合わせて渇いた笑いを浮かべる。
「・・・可愛くなるどころか、腹黒くなって・・・」
涙ぐみそうな【遊戯】の声と、バクラの頭を抱えた姿を見ると、どうやら彼らもイタイ制裁を受けたらしい。
「で、オレ達だけじゃワリに合わないから・・・」
「海馬、お前を呼んだんだぜ☆」
城之内回収の他に、生け贄にもされていたらしい。
「ふざけるな!オレは帰る!」
デュエルディスクとデッキを持ってきた自分が馬鹿に思えてくる。
ディスクを入れてきたジュラルミンケースで全員殴り飛ばしたい気分だ。
「オイ社長。アレいいのか?」
「知らん!・・・・・ん?」
バクラに振り向いて怒鳴り返すと、視界の端に奇妙なものが映る。
もう一度見直すと、城之内が立ち上がって上着のジャケットを振り回していた。
「じょーのうち!脱っぎまぁ〜す!!」
上機嫌の城之内を遊戯と獏良は笑顔で囃(はや)し立てる。
振り回していた上着を放り投げ、いっちまっいめ〜と下に着ていたTシャツを城之内はガバッと脱ぐ。
「っっこの凡骨が!!」
城之内がジーパンに手をかけた所で、海馬が堪えきれずに怒鳴り声を上げる。
そこにダーク遊戯と獏良は不満げにブーイングする。
「邪魔だよ、海馬くん。」
「空気読めないの・・・」
「ええいっうるさい酔っぱらい!!」
海馬は遊戯と獏良の首根っこを掴むと、全力で【遊戯】とバクラの方に投げる。
「そんなに裸が見たいなら恋人にやってもらえ!野球拳でも、ネコ耳でも好きにすればいいだろう!!」
遊戯と獏良は、普段では見れないような悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「「それもそうだね・・・」」
言い様もない雰囲気に【遊戯】とバクラは青ざめる。
「ちょっ・・・相棒・・・・!?」
「待て待て宿主っその目つきヤバいぞ・・・!?」
悲鳴を上げる自業自得の【遊戯】とバクラを見捨て、ぽけーっとした城之内の元へ向かう。
「バカが。帰るぞ。」
上着とTシャツを拾って手渡すと、ゆっくりと城之内が海馬を見上げる。
「・・・・あれ?海馬ぁ?」
「何を見ている。さっさと着ろ。それで帰るぞ。」
「・・・・・・・・いっしょに、帰る?」
朦朧としているのか、紡ぐ言葉がゆっくりである。
「あぁそうだ。だからはやく着ろ。」
すると城之内は上着を抱きしめながら嬉しそうに笑う。
「海馬とかえんの、久しぶりらー。」
城之内は言われた通り服を着はじめたが、海馬はしばらく動けなかった。
わかっている。酔っているからなのは、十分承知している。
だか、あの笑顔は反則だろう。
相手は酔っている、と自分に言い聞かせて平常心を保つ。
そうしているうちに城之内は服を着終わり、海馬は遊戯達が大騒ぎしている部屋を城之内を連れて出ていった。
居酒屋の外に出ると、海馬は城之内が少しフラフラしているコトに気が付く。
「城之内。」
仕方なく手を伸ばすと、いつもは恥ずかしがって渋る城之内が、手をつなぐどころか海馬の腕に抱きついてきた。
「へへ〜海馬の手、冷たくて気持ちぃ」
酔っ払っているためか、城之内は元々あったかい体なのに今は熱いくらいだ。
海馬の手に自分の手を合わせて、城之内はにやけたような笑顔になる。
「気持ちくて、クラクラする・・アレ・・・海馬が3人・・・いつの間にアルティメット海馬になれ・・・」
アレー?海馬ぁ?っと城之内は何も無い所に手を振り始める。
動いて酔いが本格的に回ってきたようだ。
「馬鹿が、オレはここだ。・・・迎えを呼ぶ。あそこの公園で休むぞ。」
海馬がゾウショクしたぁーと呟く城之内を、すでに人気のない公園へ引っ張っていく。
城之内にベンチに座らせると、「そこの自販で水を買ってくるから大人しくしてろ」と言って城之内に背を向ける。
「やら(やだ)!」
城之内が自販機に行こうとした海馬のコートを掴む。
「行くなっオレんトコに居ろぉ・・・!」
「貴様はガキか。馬鹿者。」
海馬がたしなめると、城之内の瞳に涙が浮かぶ。
「ばかばか言うなぁぁ・・・海馬はオレのことキライなんらぁ〜」
さっきまで笑っていた城之内が、今度は声をあげて泣き出す。
海馬はもうどうすればいいのか分からなくなる。
「なんでそうなる・・・」
「海馬も居なくなるのやら〜」
ぎゅっと城之内は海馬の腰に抱きついてくる。
そして、やらやらやらぁっとだだっ子のように泣きながら海馬の胸に顔を埋める。
「・・・・・酔っぱらい。どこにも行かんから泣くな。」
「・・・酔ってらい」
酔ってない、と言いたいらしいがそれも舌足らずで説得力がない。
小さい頃のモクバの要領で、頭を撫でてやると城之内は子ども扱いにむっとしたのか、涙で濡れた瞳で海馬を睨む。
「フン。どうした?」
海馬の腰に回っていた城之内の腕が、海馬の首に移動する。
そして次の瞬間、海馬の唇に熱い唇が重なる。
すぐ熱い唇は離れたが、海馬は目を見開いたまま固まっていた。
「・・・・・オレは、子ろも・・子どもじゃない。」
真剣な顔で、城之内は再び海馬の唇に唇を重ねる。
アルコールの匂いが海馬の鼻腔をくすぐり、城之内が最後に飲んだのがビールだったためか、キスは苦い味がした。
海馬は、城之内からキスされるのは珍しく、最初はどうしてよいかわからなかったが、どんどん深くなる口づけとアルコールの匂いに理性が溶けてゆくのを感じる。
呼吸をするために少し開いた城之内の唇から海馬が口腔に侵入すれば、城之内にしては積極的に舌を絡めてきた。
「・・・ふ・・・・・んぅ・・」
城之内の歯茎の裏など口腔全てを舌で蹂躙し、息苦しそうな城之内を横目で見ながらも十分味わってから唇を離す。
離れた唇と唇の間に月に照らされた一筋の銀の糸がつぅ・・・と伸びる。
「っはぁ・・・!か・・いば・・・」
「お前が悪い。」
城之内の耳に唇を落とし、甘噛みをする。
城之内の身体が、重く感じるほど海馬にくっつく。
熱かったはずの城之内の体温はもう海馬と変わらない。否、海馬の身体が熱くなっているのだ。
「もうすぐ迎えがくる。・・・帰ったら覚悟しておけよ。」
そのまま城之内のうなじや首筋に口づけるが、いつもならくすぐったがるハズの城之内が何も反応しない。
まさか・・・。
「・・・・・・・・・城之内。」
返事がない。
気のせいか、規則正しい呼吸音が聞こえる。
「・・・・・オイ、ふざけるなよ。」
こんな時に、これからと言う時に、城之内はとても幸せそうな笑みを浮かべて寝息をたてていた。
海馬はこの消化しきれない想いをどうすれば良いのかわからなかった。
「起きろ!馬鹿者っ馬の骨っ凡骨っ!」
「・・・ん〜」
城之内はみじろいだだけで、海馬の肩に自分の頭を乗せると、何もなかったかのように再び眠りにつく。
海馬は手を離して地面に叩きつけてやろうか、と思ったがさすがにこうも安心しきったように眠られるとその気も失せてしまう。
「・・・・・くそっ!!」
ベンチに寝かせようとすると・・・・・・城之内の腕が外れない。
無理に引っ張っても、びくともしないどころか余計に腕の力を強める。
ホントに寝てるのか、と思いながら、ため息をついて城之内を抱きしめたまま海馬はベンチに腰掛ける。
迎えはまだ来ない。
空を見上げれば、星は明るい繁華街が近いためか一つも見えない。しかし闇夜にうかぶ満月は変わることなく、電灯の少ない公園を明るく照らしている。
静かな空間に、城之内の寝息だけが穏やかに聞こえてくる。
・・・たまには、こんな時間も悪くない。
今日は、叫んだり騒いだりと大変だったが、最後の最後で幸せを感じる。
・・・・・一つ、おあずけがあったが。
それは明日の楽しみとして、海馬は今このときの優しい時間にゆっくり浸ることにした。
END
結局苦労した社長にご褒美はおあずけになりました(笑)
次の日の朝、城之内くんは社長のベッドで目覚めてビックリですね☆