『貴方、死相が見える』
・・・え?
どうゆーこと?
ミスティさんに言われた言葉。
よくわからなかったけど、なぜかあたしは覚えている。
『死』って、ちっとも考えたコトのないあたしだから、ちょっと衝撃をうけちゃったからかも。
毎日毎日忙しく取材して走り回るあたし。
ただ目立つことなく何処にでもいる庶民で、お芝居でいえばただの通行人。
あたしが死んでも何ものこらない。
死んでも世界は変わらず回る。
あたしもその歯車の一つでしかないのよ。
それで・・・割り切っていたはずなのに。
死んでも、あのケーキ食べとけばよかったとか、大スクープ見つけたかったとか・・・未練なんてそんなちっぽけなものばかりだったのに・・・。
あなたに出会ってから。
光り輝く、お芝居でいえば主人公のような存在のあなたを知ってしまったから。
『死』が、怖くなった。
未練が大きく、重く、なってしまう。
笑顔をみたい、いっぱい話したい、触れてみたい・・・
欲が増えて胸に収まらなくなってしまう。
あなたとずっと一緒にいたい、なんておもっちゃったり。
・・・・・ジャック。
あなたは眩しすぎるから、惹かれてしまうのかな。
でも、憧れとは違う想いに気付いちゃいけない気がするの。
あなたは光。
誰もが見上げてしまう、明るい光。
優しくて暖かい、包み込む光。
あたしには、どこか遠すぎる。
* * * * *
月がまだ淡くネオドミノシティを照らす真夜中、カーリーはベランダでため息をつく。
・・・・・・眠れない。
夜風に長い黒髪がふわりと揺れる。
風はこんなにも心地よいのに、普段はすぐにくる睡魔が一向にこない。
どうしてだろう。
(・・・・・ジャック。)
否、答えは分かっている。
今ごろ眠ってるであろう同居人のせいだ。
あの偉そうで、世間知らずで、人のコト『馬鹿』ばかり言って、でもちょっと単純で、時々年下らしくて、背が高くて、綺麗で、格好よくて・・・。
あたしのココロを乱すひと。
この想いを、自覚してしまったから・・・落ち着かないのだ。
突然、怖くなったり、切なくなったりする。
このベランダだって、手すりを握ってないと落ちそうで怖い。
急にジャックがまた消えてしまいそうで怖い。
今日みたいにジャックを見つけられると限らないと考えると怖い。
別れが・・・怖い・・・・!!
暖かいものが頬を伝う。
涙だ、と気付いて拭こうとメガネを外す。
(ジャックの、せいなんだから・・・!)
零れる涙を袖で拭おうとすると、カーリーの両腕を誰かが掴む。
メガネを外してしまったため誰だかわからない。
でも、この家にいるのはカーリーと・・・ジャックのみである。
「何故泣いてる?」
低い声にゾクッとして、カーリーはやはりジャックだと確信する。
「・・・なんでも、ないんだから。手をはなして。」
メガネをかけたいのに、ジャックが両腕を掴んでいるため出来ないのだ。
「嫌だ。」
なんでもないハズないだろう、と苦しそうに呟くジャックの声に、彼がどんな表情をしているのか見えなくても分かった。
その彼の優しさが、今のあたしを追い詰める。
彼の中から、あたしが消えるときが怖い。
失うのが怖い。
涙は、あたしの気持ちに忠実で・・・止まれと命ずる理性を無視して流れてゆく。
「カーリー・・・!」
無理に笑おうとすると口元が歪んで、相も変わらず涙は溢れるからきっととっても変な顔。
早くこんな間抜けな顔を隠したいのにあなたは手をはなしてくれない。
「何故泣いてるか教えるまで放さない。」
意地悪なひと。
あたしだって、自分がどうして泣いているのかわからないのに。
悲しくもない。痛くもない。切なくもない・・・かな。
なんだろ、この涙は。
怖いのはあたしの心で、この涙は恐怖とはちょっと違う気がする・・・。
ううん。あなたが来てから涙の意味が少し変わった。
(・・・・・すき)
好き。大好き。あなたが、だいすき。
それだけでは足りない、この想い。
それが涙に溢れている。
違う。想いが溢れすぎて、涙まで零れてしまったのだ。
“怖い”よりも強く。
“好き”よりも強く。
自覚しても伝えられない、強い強い想い。
「・・・何故、ひとりで泣く・・・・」
答えがないのは分かってるハズなのに続く、ジャックの問い。
カーリーはようやく口を開く。
「・・・・・・忘れて、しまうから。」
カーリーの、先ほどまでとは違う落ち着いた声にジャックは驚く。
「ジャックは誰かの心の中で生き続ける。ずっと。・・・子どもたちの中でも、遊星の中でも・・・。」
ジャックの手の力が抜ける。それを逃さずカーリーは身を退いて、落ちたメガネにゆっくりと手を伸ばす。
「あたしはね・・・」
メガネをかけたカーリーの表情は、読めない。
普段ならいやというほど分かるのに。
「消えたら、忘れられちゃう。ジャックとは・・・違うから・・・。」
主役と、セリフのない脇役の違い。
光と闇の違い。
光は、誰もが気付くけれど・・・闇は誰もが気付かない。
「・・・・・あ、あれっごめんっ変な話して!気にしないでっなんでもないんだから!」
何かジャックが言おうとする前に、カーリーはベランダから逃げる。
「忘れてっ・・・」
自室へ走って逃げると、ジャックはそれ以上追い掛けて来なかった。
気が抜けて、壁に背をつけてズルズルと座り込んでしまう。
どうしてあんな事言ってしまったのだろう、と今更ながら後悔をする。
忘れよう。
明日から普通にジャックと過ごせるように。
・・・でも、一言だけ言わせて。
忘れない内に。
ジャック・・・
『あいしてる・・・』
* * * * *
「くそっ・・・!」
ガンっと八つ当たりするようにベランダの手すりにジャックは拳を打ち付ける。
痛む手など、気にしない。
忘れてしまう・・・?
お前のコトを・・・?
「・・っそんなワケないだろう、馬鹿が・・・・・!」
腹が立つ。
そんなこと言うカーリーにも。
すぐ否定してやれなかった自分にも。
こんなコトになるなら、手を放さなければよかった。
抱き締めて、涙を拭ってやれば良かった。
「カーリー・・・!」
オレのココロを乱すヤツ。
危険に巻き込みたくない。
シグナーのゴタゴタに巻き込むくらいなら、他のヤツと平穏に暮らしてもらったほうがマシだ・・・!
オレの身勝手で巻き込んでしまったが・・・
願うならばオレを忘れてほしい。
この想いを言葉にするのなら。
カーリー・・・
『あいしてる・・・』
END
意味不明orz
とにかくお互い想ってるんだけど・・・言えないみたいな。
・・だれか文才ください←
話は、遊園地デートからヘリでサテライトに行く間くらいなつもりですが、こんな暇ないですね\(^O^)/
いつだココ(オイ)
欝な文章お読みいただきありがとうございました!!