カタカタカタカタ・・・
キーボードを打つ音だけが、チーム・サティスファクションのアジトの部屋に響く。
遊星はディスプレイの明かりだけの真っ暗な部屋でパソコンを弄っていた。
後ろには、先刻までひたすら喋っていたジャックが待ちくたびれてボロいソファーで横になって眠っていた。
今夜はクロウと京介が少し遠出をしているので2人きりだ。
本当は遊星の作業が終わったらデュエルする予定だったのだが、ジャックは目を覚ましそうもない。
明日の昼には帰ってくる2人が居ない間、ジャックと遊星だけでこのアジトを守らなくてはいけないのに・・・すごい余裕だ。
2人いれば腕っぷしとデュエルでそうそう負けることはないが。
タンっとEnterキーを押して作業を終わらせた遊星は、パソコンを閉じて掛布を取りに行く。
相変わらず綺麗な寝顔をしているジャックにそっと掛布をかけてやる。
(・・・まつ毛、長・・)
肩幅や身長は遊星より大きいのに、顔や手はなんて繊細で綺麗なのだろう・・?
余りにも安らかな寝息をたてているので見ているうちに、その高い鼻をつまみたくなってきた。
遊星はしばらく我慢をしていたが長く続くことはなく、ゆっくりジャックの顔に手を伸ばす。
指先が鼻に触れ、遊星はジャックの鼻をつまもうとする・・・
と同時にジャックのまぶたが開く。
「!」
慌てて手を引っ込めようとするが、ジャックは遊星の手首を逃がさんとばかりに素早く掴む。
「・・・起こすにも、他に方法があるんじゃないか?遊星。」
ニヤっと笑うジャックを見て、狸寝入りだったのだと確信する。ジャックの寝起きがこんなに良いはずがない。
「唇でも触ってくれるのかと期待していたが・・・まさか鼻だとはな。」
遊星の手の甲に唇を落としながら、ジャックは上目遣いで遊星を見つめる。
普段は遊星のほうが見上げる側なので、ちょっと新鮮であるが・・・遊星はそれどころではなかった。
「ジャック、鼻をつまませてくれ。」
・・・ジャックの笑顔が凍りつく。
遊星は至って真面目なのだが、ジャックは余計にため息をつきたくなった。
「遊星お前っ・・・!珍しく二人っきりなんだぞ!?もっと色気のあるコトとか言えないのか!?」
遊星は少し考えてから、答える。
「だがオレは、ジャックの鼻をつまんでみたい。」
「な・・・ならオレは遊星にキスしてもらいたいのだがなっ」
再び遊星は考えて、分かったとうなずく。
「鼻をつまみながらキスすればいいんだな。」
「オレ窒息死させる気か!!」
ジャックは二人っきりというコトで、正直かなり期待していた。その期待がガラガラと崩れさってゆくのを感じる。
せっかく、アレやコレや色々出来ると思ってたのだが・・・。
「ジャック・・・」
「ああ何だ?鼻つまみたいならつまめばいいだろうっ」
ジャックがふてくされた様に寝返りを打つと、遊星に引き戻される。
そして遊星に、唇に軽く触れるだけのキスをされた。
「ゆ・・・せ・・・」
遊星はジャックから視線をそらす。
「・・・・・ジャックの鼻つまみはいつでも出来るなって、思っただけだ。」
遊星が更に何か言う前に、ジャックは遊星を抱き締める。
「そうだ。でもコレはクロウ達の前では出来まい!」
そう言うと、ジャックは遊星に口付けをする。
先ほどを除けば、久しぶりの遊星の唇にジャックの心は満たされてゆく。
思えば、最近は忙しくてゆっくり遊星と過ごす時間が無かった気がする。
一層遊星を想う気持ちが強くなり、口付けは長く深くなってしまう。
舌を絡めれば甘い痺れが全身を包む。
「遊星っ・・・」
遊星はジャックから与えられる心地よい熱に身をまかせる。
ジャックは不思議だ。
オレが「好きだ」と言わなくてもわかるのだ。
そしてジャックに抱き締められるときも、キスされるときも、ジャックがオレのコトを好きな気持ちが伝わってくるのだ。
言葉にださなくても。
感じるのだ。
ふたりぼっち。
だから寂しくない。
ただただ暖かい。
合わせた手も、触れ合う唇も、見つめ合う瞳も、何もかもが・・・あったかい。
遊星はジャックの腕のなかで微笑む。
それは、特別な笑顔。
アイツがいるから溢れる微笑み。
(鼻をつまむのは・・・寝起きのほうが面白い。)
そんなコトを考えて、遊星はちょっと甘えるようにジャックの胸元に頬をすりよせた。
END
本当になんだコレはorz
甘いのかギャグなのかさっぱりだ・・・
しかもゆせとジャックだいぶ別人に(゜_゜;)
そしてジャク渚書いたとたんジャク遊とか雑食すぎだろ自分・・・。
ここまで読んで下さりありがとうございました。