やだ!
コラ遊馬、ワガママ言わないの。
だってオレだけだよ・・母さんいないの・・・!
仕方ないでしょう?ねーちゃんも学校終わったらすぐ行くから、ね?
・・っなんで?なんでオレの父さんも母さんもいつもいないの!?
・・・・・・・・・・っ
もういいよ!!
あっコラ遊馬ー!
寂しい寂しい寂しい…
ひとりぼっちは寂しい。
このカラダは寂しさを耐えるにはまだ小さすぎて。
このココロは大人の理由を納得するにはまだ幼すぎて。
ただただ泣き喚き藻掻くしかなかった。
* * * * *
「遊馬、遊馬!あれは何だ?」
朝早くから夜遅くまで、一つでも分からないものがあるとアストラルは遊馬に問う。
何も知らないアストラルにはきっと分からないものだらけなのだろうが、四六時中聞かれる遊馬はたまったもんではない。
「あーもーアレはアイス!アイスクリーム!」
「あいすくりぃむとは何だ?」
そして決まって名前の次は具体的に聞いてくる。遊馬がわかる範囲ならいいのだが、「ぱそこんはどんな無限コンボで動いているのだ?」等と聞かれて遊馬が詳しく答えられる訳がない。
「ひんやりして甘くてトロンと口の中で溶ける食べ物。」
不機嫌そうに遊馬が答えても、アストラルは気にした様子はなく不思議そうにアイスクリームに見入っていた。
今日の遊馬は夢見が悪かった為、朝から珍しくイライラしていた。それを知ってか知らずかアストラルは不当な扱いをされても気にもとめない。
今更あんな昔の夢見るなんて・・。
遊馬は一つ小さなため息をついた。
「様々な色があるのだな・・とても美しい。・・・・遊」
「今お金ないからアイスは買わねーぞ。また今度な。」
どうせ欲しいだの見たいだの言われそうなのでアストラルが言う前に遊馬が切り捨てる。
アストラルは少し残念そうに一度アイスクリーム屋さんを振り返り、「そうか」と呟いた。
しかしすぐにアストラルは違うものが目に入ったのか遊馬を呼ぶ。
それがイライラしてる遊馬を余計に苛立たせた。
「遊馬、アレは―――・・・」
「うるさいな!!」
驚いたアストラルはそのまま口を閉じる。
「さっきから遊馬、遊馬って・・何なんだよ!」
遊馬はキツい口調で感情的になった想いをぶつけてしまう。
あることないこと今にも口から溢れでてしまいそうだ。
「オレが何でも詳しく知ってるわけねーだろ!少しはだまれよ!」
思わず怒鳴ってしまってから、言い過ぎたと内心少し後悔をする。しかしアストラルは驚いた様子ではあるが黙ることはなかった。
「・・・君は何故怒っているのだ?」
「怒ってねーよ・・」
それでも遊馬は素直になれず、フイとそっぽを向く。
静かなアストラルの声は遊馬のイライラを半減させてゆく。
「ではどうしたのだ?何故こちらを向かない?どうして教えてくれないのだ?」
「・・・・・・・お前こそ、何でオレに聞くんだよ。」
質問をすべて無視して、反対にアストラルに問う。
するとアストラルは考えるようにしばらく黙っていた。
少し長い沈黙に先に耐えれなかったのは遊馬の方で、伏せていた顔を上げてアストラルを見る。
一方のアストラルは少し寂しそうな瞳をしていた。
「アストラル・・?」
あぁ、この目をオレは知ってる。
「わたしは・・」
その時、ようやくアストラルは口をひらいた。
「わたしには、遊馬しかいないからだ。」
寂しげな金の瞳が真っ直ぐ遊馬を射ぬく。
そうだ。
アストラルは、何も知らないんだ。
記憶のない彼はただ純粋に知的好奇心を満たすために、何もわからない赤ん坊のように全てを吸収しようとしているだけなのだ。
頼れる者は唯一アストラルと話し見聞きできる遊馬だけである。
わかっていたはずだった。
「わたしは君が居ないと何も知ることが出来ない・・。デュエルや記憶を集めることですら、出来ないのだ。」
自信に満ちて、遊馬からしてみれば少々偉そうなアストラルとは思えない気弱な発言である。
急に遊馬はデュエルで負けただけで消えてしまうアストラルという存在の脆さを感じた。
そう、とアストラルは納得するように頷く。
「わたしは以前、孤独なのかもしれないと言った。しかし、遊馬が居る限りわたしはひとりぼっちではないのだな。」
今度は遊馬が驚く番であった。
アストラルを包む孤独な雰囲気が一変して穏やかになったのだ。
「どうやら、わたしは遊馬に先に消えられては困るようだ。」
ふ、とアストラルは無意識であろうが遊馬に微笑んでいた。
突然高鳴る胸に遊馬は動揺した。
「ばっばぁーか!!お前より先に消えるとか縁起でもないこと言うんじゃねーよ!!」
「えんぎでもないこと、とは何だ?」
「・・・・・わるいことがおきそうなことだよ!多分!」
「記憶しておこう。」
遊馬はフン、と鼻をならす。
「いいか?そうゆうことはもう言うな!オレも消えないし、お前も消えない。これで誰も寂しくないだろ!」
びしっとアストラルに指をさしながら言うと、アストラルは目を丸くする。
「君もわたしが居なければ寂しいのか?」
「・・・なっいきなり変なこと言うな!」
ストレートに言われるのは妙に照れくさい。ふよふよ浮くアストラルを上目遣いで睨んだ。顔が熱いのは気のせいだ。
「よくわからないが、わたしは変なことを言ったのか?」
困惑したような声音に良心が痛む。
「確かに遊馬は、わたしが居なくても寂しくないかもしれない。君の周りにはいつも必ず誰かがいるからな。」
バカ、なんでそんな・・冷静に悲しい事言うんだよ。
意地を張っただけなのに。
そんなこと言われたら、素直になるしかねーだろ。
遊馬は「あーっもう!」とさけぶとズボンのポケットに両手を入れてボソボソと呟く。
「・・そりゃ、多少は・・・寂しくなるだろ・・・・。」
遊馬はアストラルの顔が見れない。
ただ素直に寂しいと伝えただけなのに、ドキドキする。
でも遊馬は知っている。
面と面を向かって寂しいコトを言える幸せを。
失ってからでは、何もかも遅いことを。
「そうか。」
だがアストラルの答えは予想以上にシンプルなものだった。
「そうだよ!悪いか!」
照れ隠しに声を荒げても、様にならない。
「ひとりでも・・寂しいと思ってくれるだけで、嬉しいものだな。」
アストラルの言葉はどこまでも優しい感情が溢れていた。
「当たり前だろ。」
表情は変わらないが嬉しそうなアストラルにつられて、遊馬は笑みを浮かべた。
消えさせない。
この寂しがり屋をひとりぼっちなんてさせない。
今まで、遊馬は親に姉に祖母に周りに守られてばかりだった。
でもようやく守りたいものを見つけた。
この感情を言葉にするならば、まだ『庇護欲』と『独占欲』。
この感情がどう育つかは、今はわからない。
ただ、デュエルをする事が、勝つことが、剣となり盾となるなら・・
勝ち続けよう。
まだまだ弱いけれど、どんなに無様でもダサくてもいい。マジックコンボなんて出来なくていい。
アストラルを守れるなら。
不恰好なヒーローにだってなってやる。
END
初ZEXALです
まだまだキャラがつかみきれてないですね…うぅ
まあ某孤独発言のせいでバーッと妄想が膨らみダーッと書いてしまいました(笑
ちょっと遊馬がカルシウム不足なのは話の流れ上…ごめんぬ遊馬
しかも両親いつ居なくなったかわかんないのでモヤモヤ捏造←
まあきっとねーちゃんがまだ学生じゃないかしら、と。
違ってたら違ってたで、コレ二次創作ダシとごまかしたり。 ←
こんな雪菜は遊馬贔屓!
いやシャークさんも好きだけど!
思春期の少年って多感な年頃でイイよね!!(黙れ)