涼→(←)南♀

街が綺麗なオレンジ色に染まり、それから段々と闇に包まれる。放課後の校舎に残っていた文化部の生徒も帰宅し、辺りは静まり返っていた。
部活を終えて帰宅しようと身支度を整えていると忘れ物に気付き、思わず舌打ちをする。提出期限を破ると面倒なものなので、どんどん帰宅しようと狭く汗臭い部室を後にしていく仲間たちを見送りながら、隣でおとなしく待っていたヒロトに声を掛ける。
「戸締まりは私がするから先に帰っていてくれ。忘れ物をした」
「いいの?」
「ああ。お疲れ様」
「そう、じゃあ先に帰るよ。お疲れ様。風介、帰りは気をつけてね」
ヒロトから部室の鍵を受け取り、程なくしてガチャリと音を立て鍵が締まる音が陽の沈んだ静寂の中に響いた。

廊下を歩けば至るところにプリントや、ゴミが散乱しとても汚ならしい。これは清掃を徹底して行う必要を感じ、今度議題に出そうと頭の片隅へと追いやった。疲れで少し踵を引き摺るようにして歩いていると、明かりが着いている教室があった。よく見ればそれは自分の教室で、まだ誰が残っているのだろうかと誰か分からない相手に少し緊張しながらそっと明かりの漏れるドアに手をかけた。ドアはガラリと音を立て、中に居た人物は驚いたように声を上げた。私はその思いもよらない人物に驚き、反射的に名前を呼んでしまった。
「…南雲、」
「涼野かよ、驚かすんじゃねーよ」
振り返り、眉をひそめながら文句を言う彼女の姿に心臓に釘を打たれる思いだった。短く上げられたスカートから白く伸びる足は惜し気もなく晒されて(何故か靴下を履いていなかった)、胸元は大きく開いている。再び彼女は机に向き直り、シャーペンを握り直したが私はチラリと見えた苺柄については他言しないと心の中で誓った。良かった、がさつそうに見えて下着は上下お揃いで着けているのか。それから彼女の横を通り、自分の机を漁り目当ての物を見付け振り返りもせずに大きな独り言を呟いた。重要なのは独り言であるということで、彼女から返事がなくてもそれは仕方がないと言うことだと言っておく。
「こんな時間まで残って何をしているんだ…」
激しく脈打つ心臓をよそに、そっと振り返ると彼女と目が合う。
「課題だけど。終わらないと帰れねーの」
それだけ言うと彼女は足をぶらぶらさせ、シャーペンをくるりと回しじぃーっと私を見詰めてくる。
「なぁー、教えてくれよぅ?」
きっと早く帰るためだけの道具としてしか利用目的だとしても、今の私には甘い甘い誘いでしかなく。気付けばシャーペンを握り、頭の良さと、忘れ物をした自分の愚かさに感謝していた。




コロン、日本の赤と青のシャーペンが転がり、目の前の彼女は腕を上げ背伸びをしている。
「終わった〜!これでやっと帰れるぜ」
「お疲れ様」
「涼野のおかげだよ。ありがとうな。お前ってやっぱイイヤツなんだな!」
「そんなことはない。南雲にだけだよ」
「…え?」
伸ばしていた腕を戻そうとしていた途中で、目を見開き茫然といった表情をしている彼女を見て自分の発言に気付いた。あまりにも自然と口から溢れてしまった言葉にどんどんと顔が暑くなり、もうこうなったら仕方がない!と意を決して立ち上がり
「南雲が好きだ」
と己の中の感情をぶちまけた。彼女は更に驚いたように目を開き、いつのまにか腕を下ろしスカートを握って
「そ、そうか…意外な趣味だな」
などと、まるで第三者のような事を言っている。突然のことすぎて、まだ状況についてこれていないのかもしれない。
彼女はそっと立ち上がり、プリントを掴み
「て、提出してくるから!待ってて!」
と顔を真っ赤にさせて飛び出してしまった。残された私は壁掛け時計が19時をさすのをみて、録画予約してたっけとわざと別の事を考えて彼女の帰りを待っていた。







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6万打おめでとうございます!
企画でフリリクされてたのでリクエストさせていただいた涼→(←)南♀の学パロ…
涼南の神、エヌタ様からいただいちゃいました。うああああ半端ねええええ萌え禿げるぞ(^ii^)
ありがとうございましたあああ!!




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