どうしてこうなってしまったんだろうか、なんて。今更。
小さい頃は皆、サッカーが好きで同じ境遇の仲間が好きで、笑いあえて、
いつから、こうなってしまったんだろう。
「ガゼル」
思えばいつだって、彼は私の隣にいた。
お日さま園で小さい頃から何をするにもずっと一緒。サッカーするにも2人で組めば、ヒロトだって手こずらせた。のに。
「ダイヤモンドダストになんか、オレたちは負けねーから」
「ふん、それはこっちの台詞だ」
晴矢はこの運命を受け入れているのだろうか。ヒロトがグランになったこと、晴矢がバーンになったこと、私がガゼルになったこと。
この忌々しい石のせいで砕けてしまった皆の絆も心も、受け入れて しまった?
「…晴矢」
呼ぶと晴矢は眉間に皺を寄せる。
晴矢はもう、私の名は忘れてしまったの?
「…その名前で呼ぶなよ。誰かいたらどうすんだ」
「私には、無理だ。もうこんなこと」
「っ、ガゼル!」
「嫌だ!私はガゼルじゃない、風す」
思い切り殴られた。痛い。
彼は昔から容赦ない。
「あ、はる、や」
「しっかりしろよ、お前ダイヤモンドダストのキャプテンだろ」
「でも」
「オレだって…っ」
晴矢の金色の瞳が揺れる。
そうだった、晴矢は昔から私が弱気になると決まって強がって私を守ろうとしてくれた。自分だって怖いくせに。
「ごめん、ごめんね晴矢」
「う、風介っ、っく」
「晴矢ごめん。もうこんなこと言わないから」
「バカ風介っ」
「うん、うん」
運命を、受け入れなければ。
私が晴矢を守るんだ。
晴矢となら、晴矢と一緒なら。
「行こうかバーン。一緒に」
「おう、ガゼル、一緒に」
一緒に。
そうすればいつか、
また、
一緒に。
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